[4/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス ディーラーが締め切りの合図を告げ、プレイヤー達にカードを配る。一歩後ろからその様子を眺めながら、次のラウンドから参加するべく、エースはアリスに初心者向けのルール説明を始めた。
配られるカードは二枚。二十一を超えないようにカードの数字をコントロールするゲーム。十から上のトランプ札は全て十点扱い。そしてAは。
「Aは、一点または十一点、都合の良い方で数えることが出来る」
エースの声に耳を傾けていたアリスは、妙な感覚を覚えて口を開いた。
「……あなたって、ディーラーもやっていたりする?」
隣に居ることに対する、強烈な違和感。隣に並び立つプレイヤー同士ではなく、例えばそう、卓を挟んだ向かい側に座っている方が。何故かどことなくしっくりくる気がして、アリスは改めてエースに向き直った。
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