無邪気って残酷だよね「それ。いらなくなったから、あげる」
ぽい、と渡されたのは、几帳面にラッピングされた袋だった。
年末年始は、アイドルにとってかき入れどきだ。ありがたいことに、地上波の番組からも声が掛かるようになった私たちは、それぞれのユニット活動に勤しんでいた。仕事が落ち着くまで会えないのも覚悟していたけれど、クリスマス当日の今日、運良く同じ特番の歌番組に出演できたのだ。事務所からのクリスマスプレゼントだと思った。帰宅後なのでもう夜中、もはや日付も変わったただの平日だけど、私たちのクリスマス本番はこれからなのだ。
「うん、あまい。脳みそがとけたみたいな味。こっちはどろどろのべちゃべちゃで、雨の日の地面みたい」
「おいしい?」
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