短文鍋若若と鍋包肉は確実に特別な仲だ、と見ている者が多い。
しかし、当の本人達は揃って首を横に振る。
そうではない、ただの主従で他の食魂と等しい存在である。
ただ専属執事で口出しが多い存在、それだけなのだと。
だが、これを聞いて納得出来た者は一人もいない。
この事に、鍋包内は静かに呆れている。
若は内心、親しいと思われることで修行がハードな物になるのではないかと危惧している。
お互いに自覚症状はないのだろうか
若も鍋包肉もいっそ認めてしまえば良いのではないか
それとも本当に「そのつもりはない」のだろうか
いや、そんな事はないだろう。
どこか心の奥底で、想いあってるのは確実なのだ。
自分自身への偽りはうまくできているのだろう。
だが、他人への偽りは全くできていない。
あぁ、ほら、今日もあの二人は・・・
「若様、茶を淹れました。 少し冷やしましたが、火傷にはお気をつけて」
「ありがとうじゃあちょっと休憩しようかな。 鍋包肉も座って」
「…こちらでよろしいですか」
「うん...で、今日は・・・」
若は鍋包肉の手をとり、両手で指を揉んでいる。
至近距離でお互い見つめあっている。
二人とも気づかない内に笑みが浮かんでいる。
若が日中の話を一方的に喋る休憩時間は、小一時間続いた。
というのを毎日している。
これのどこがただの主従関係なのだろうか
他の食魂との距離感も、話す量も素振りも違う。
本当に特別ではないのか
・・・少なくとも普通ではない。