Courageous pigeonテッドは暗く湿った貨車の中で、絶望に一人涙を流していた。
あたりには啜り泣く人の気配。背中側で纏めて拘束された両手を動かす気力すら、今の彼には残っていない。
信じたくない。思い出したくない。
しかし頭は先程の出来事を延々と再生し続ける。
なんで。どうして。
ウェドが、裏切り者だったなんて。
*****
西ザナラーンでの任を終えて帰路に着こうとしていたテッドは、足跡の谷を通りすがった折に見慣れた姿を目にした。
背の高い、灰茶の髪をした褐色肌の男が、岩場の陰に向かって歩いていく。
(ウェド…?あんなところでなにしてるんだろ)
テッドが遠くから様子を伺っていると、大きな柱を通り過ぎたあたりでウェドが突然その姿を消した。
驚き慌ててウェドがいたあたりまで走る。付近を見渡しても、なにもない。
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