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    Kira_kira0312

    @Kira_kira0312 グロエロ用

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    Kira_kira0312

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    オバがヤンデレの死オバ

    死を呼ぶ花死オバのつもり
    病みオバの片想いから始まる
    なんでか敵連合とは和解している状態







    廊下を急ぎ足で駆けていると風と共にひらりと花びらが舞い込んできた。足元に落ちたそれはとても小さいのに強かな、真紅に黒を染めたような花びらであった。いつもならば気にも留めずに踏み締めているであろう、だが今日は何故かその花びらが目に留まった。何と言う花なのだろうか、としゃがみこみ拾い上げ掌に乗せた。近くで見る色付いた繊細な花にこれは…と感嘆を吐いて見入った瞬間、心地良い緩やかな風にその花びらは攫われてしまった。あぁ、惜しいことをした、と死柄木は嘆いたが急ぎの用を思い出し再び歩き出した。





    「ところで話は変わるんですが中庭に美しい花が咲いたのを知ってます?死柄木」
    「はぁ?それは初耳だけど?お前が世話している花じゃなくて?」
    「あぁ…花壇の隅に隠すように植えられていましてね、手入れしている本人ですら全く気付かなかったものなんでね…」

    クロノいわくそれはとても珍しく此処らでは見かけない花であるという。禍々しいとまではいかないが普通の花よりも神秘的でどこか近寄りがたい印象を持つ花だ。それは黒百合と言うらしく百合を血で染め上げたような色合いをしていた。高山地帯に咲くのになんと珍しいと言われても死柄木にはこれを見た覚えがあった。先ほど回廊に落ちていた花こそこの黒百合ではないのだろうか。見せてくれないかと喰い気味に問いかけるとクロノは一瞬、肩を震わせ身を引いたがすぐに承諾した。




    「これが黒百合……?」
    「そうですね、何処からやってきたのか…不思議ですねぇ…」


    軽やかに笑うクロノを横目に死柄木はじっとその花を見つめた。もっと私を見つめて、と言わんばかりの存在感に手を伸べる。水をたっぷりと蓄えているであろう感触に少しばかり鳥肌が立った。この花は美しいが根を伝い土の養分を吸い、その他を喰らう。そうして自分はより一層美しく輝くのだろう、なんと恐ろしい。だが死柄木はこの黒百合に嫌悪を抱くどころかむしろ好ましいとさえ思った。花の良し悪しは全く分からない死柄木であったが本能というのだろうか、自然とそう思った。


    「おい、二人して何を覗き込んでいる?」


    背後から少々低めの声が響いた。おや?とクロノが振り向き、死柄木も釣られて振り向くとそこには治崎が立っていた。おれにも教えてくれないか?と死柄木の隣にしゃがみこみ、その花を眺めはじめた。クロノが再度己にした話を治崎に聞かせている最中、死柄木は治崎をちらりと見た。やはりこの男は美丈夫の類に入るらしい。整った精悍な顔立ちをしている。潔癖は少々問題があるがそれ以上に許されてしまう顔立ちなのだから仕方ないのだろう。そして逞しい体付きをしているこの男は誰から見ても理想の男だ。その治崎がこんなに小さな花を愛でている姿に世の女性はなんと言うのだろうか。そう考えていると突然治崎の目線が黒百合から死柄木の目へと移った。そう見つめられては集中出来ないなと言われて、慌てて目線を逸らす。治崎のからかうような笑い声に少し頬が熱を帯びた気がしたが心を落ち着かせるために黒百合を視界に入れた。いつから気づいていたのかと悶々としているとからかうようなことをして悪かったなと未だに腹を抱えて笑っている治崎に再び羞恥が呼び起こされた。

    「こちらこそ、見つめていて悪かったな!」
    「いや、いい…ただお前の反応が面白くてついな…」
    「………!」

    軽く言い争うような雰囲気に黒百合を熱弁していたクロノも流石に気が付いたようでどうしたんです?と首を傾げて二人に向き直ると遠くの方からクロノを呼ぶ声が聞こえた。その声はクロノの部下らしく相談があるのだと小走り気味に三人の前に現れた。正確には用があるのはクロノ一人であったようで暫く話し込んでいた。



    「例のシマのことでお伺いしたいことが…」
    「そうだったな、少し考えないとな…では、すみませんがこれで失礼しますねぇ」
    「……行ったか…頼られる上司とは忙しいものなのだろうな」
    「そうだろ、それに加えてクロノは部下に慕われているっぽいし?だから声をかけられるんだろ」


    二人で慌ただしく去っていったクロノと数人を見届けると顔を見合わせ笑った。その後は他愛もない話で盛り上がっていたのだが、もうそろそろ良い時間だからと死柄木が立ち上がり治崎に別れを告げようとすると治崎はまだ黒百合を眺めていた。その目はどことなく虚ろだったのを果たして治崎は気がついていたのだろうか。死柄木の呼びかけを遮るように独りでに語り始めた治崎の目にはもはや光は灯っておらず昼だというのに少しばかり不気味な雰囲気を醸し出していた。

    「…治崎…?そろそろ、」
    「あぁ…面白い話を思い出した、その黒百合にはとある呪いがあるらしい」
    「…それは、どんなのだよ…」
    「好いた相手の側に黒百合を置いて、相手がその花を手にしたら結ばれるというものらしい、面白いものだな…実際に叶うのだと、それをおれは証明してみせよう」

    その言葉に背筋が凍った。今治崎はなんと言っただろうか。花を手にすると二人は結ばれる。さて自分が拾った花びらの名はなんと言っただろうか。自分の目の前にいる男が笑っているのは何故だろうか。そして、この花に秘められた言葉は何と言っただろうか。確か、『愛と呪い』だった。最初から仕組まれていたのだ。治崎はずっと死柄木を見ていた。結ばれる前からずっと。治崎の顔が恍惚に歪む。まるで黒百合に潜む乙女のように。それはやがて悪女の顔に変貌し、手がこちらに伸びる。強い力で腕を引かれ地面に縫い止められる。床に叩き付けられる音がして背中に痛みを感じた。空が一瞬して暗闇に包まれる。


    「…やっと、ようやく、手に入ったおれの…あぁ、死柄木どうか怯えないでくれないか?おれを見てくれ…!照れなくてもいい、おれ達はもう恋人じゃないか」


    治崎の眼が深い泥のように彼を飲み込む。重い愛の言葉が彼に纏わりつく。涙を流し微笑む死穢八斎會の若頭は敵を底深く沈めた。暫くしてこの街から二人の敵が消えた、そんな風の噂が流れたという。
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