奈可藍大哥要娶我(中編) 髪や顔を撫でられる感触に、江澄はけだるい瞼をゆっくり開けた。
藍渙が隣に腰かけ、深く傷ついたような悲し気な表情でこちらを見下ろしている。シャワーを浴びたのか、髪は濡れて白いバスローブを着ていた。
泣きたいのは私なのになぜあなたが泣きそうなんだ、理不尽だ。
初めての経験は散々だった。えぐられるように痛いだけで全然気持ちよくなく、コンドームはつけてもらえないわ、おまけに尻をお仕置きだとしこたま叩かれた。きっと臀部は子供のとき躾と称されてぶたれたときよりも赤く腫れあがっている。
これなら一生自慰で過ごしたほうがましだと江澄は思った。あれほど望んでいたのにもう指一本も触られるのが嫌で頭からシーツをかぶって背を向けた。
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