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    mame

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    魏嬰が猫のように死に際に姿を消すお話し

    私の2021年11月22日のメモ帳に残ってたお話なんだけど、続きがなくて誰か知らない??これ壁打ちしてたとかあるのかな……、あまりにも記憶が無い、、

    #忘羨
    WangXian
    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #死ネタ
    newsOfADeath

    猫ってすごくすごく可愛いよね魏嬰が猫のように死に際に姿を消すお話し

    魏嬰のコロコロ変わる表情にいつしか笑い皺が増えた。髪は綺麗な白銀を宿し、赤と黒の若々しさは無くなった。人を揶揄う言動は変わらないのに、声は落ち着き、目には慈愛を含んでいた。共に過ごしてもう何十年も経っているのだと愛しい月日に思いを馳せた。
    彼の変わっていく新しい姿に毎日のように愛しさが増していく。しかし、その新しい姿は次第に寿命を感じさせていった。 歳を重ねてもお酒好きは変わらなかったが、飲む量は格段に減っていた。天天と言った行為も彼の負担が大きかったから徐々に減りいつしか無くなった。食事も姑蘇の食事をよく食べるようになり、私が用意する事は減っていった。魏嬰は自分でやらなきゃ身体が鈍るのだと、私に世話を妬かせる事を拒否するようになった。
    それでも私は彼の我儘を叶えたかった。彼が望む全てを私が与えたいのだ。
    魏嬰はそんな私の思いを見透かしたようだ。
    「藍湛、お酒作ってよ!!藍湛が作ったお酒が飲みたい!」「藍湛!藍湛!!蓮の池を作ってくれ!」「こんな曲はどうだ?まだ未完成だからお前が完成させてよ」と毎日のように難題を言ってくるようになった。愛らしい人の願いを全て聞いてあげたい。そんな甘やかな日々を送っていた。
    「藍湛、もし俺が死んでもお前は生きろよ。俺は愛しい人に最期まで愛されて寿命を全うするんだ。とても幸せに生きたのに、お前を連れて行ってしまっては俺が不幸になるだろ。」
    「魏嬰、私は君がいないと生きてけない。」
    「…あぁお前ならそう言うと思ったよ。藍湛、よく聞け。俺はお前の事を心から愛してる。」
    「うん」
    「愛してるからこそ、お前に生きていて欲しいと思うことはそんなにいけないことなのか?俺が最後に殺したのが道呂のお前だなんて俺が可哀想すぎるだろ。それこそ魂魄を壊して永遠に転生したくなくなるぐらいだ。」
    「それはいけない。しかし…」
    「藍湛、どうしたって俺はお前より先に死ぬ。これは変わらないんだよ。歳をとって俺の身体が変わっただろ?これが老いなんだよ。分かるか藍湛。俺はお前を幸せにしたいんだ」
    魏嬰の赤く光る目は久しぶりに見た。
    私には君が今何を考えてるのか分からない。魏嬰のいない世界をどう生きたらいいのか、死んだ方が幾分かマシではないだろうか。
    「…っうぇいい…。」
    「藍湛、今までありがとうな。本当に感謝してもしきれないんだよ。また向こうで待ってるからさ、ゆっくり来てくれよ。どうか幸せに」

    藍湛の返答次第でこの術は使わないでいようと思っていた。しかし返ってきた言葉は想像していた返答であり藍湛との長い年月を想った。愛しい日々だった。藍湛に伝えた言葉は全て本心で、遠くない自分の死は藍湛を絶望に突き落とすことを知っていた。だから俺は自分の死期を感じて藍湛の記憶を改竄する術を開発した。
    義兄が昔言った「弟の人生唯一の汚点」を俺は無くしてやりたいとも思っていたのだ。俺と出会わなければこいつは正義を貫く含光君のままで居られただろう。藍湛が俺といて幸せを感じていた自信はあるが、正義を貫くカッコイイ藍湛を俺は見ていたいのだ。俺が死んだ後呆気なく自死なんてされたらたまったもんじゃない。
    だから俺は最後の力を使って藍湛の長い長い記憶に干渉していった。
    義兄や息子、姑蘇の人達の記憶はどうしようか。改ざんするのは骨が折れるけど、自分の記憶を消すくらいならそこまで大変ではない。藍湛が記憶の改ざんに気付いてしまったら大変だからな。
    目を赤く光らせ全てを消す。
    そして蓮花塢へと旅立った。
    そのまま祠堂に挨拶をしに行き、深い深い眠りに落ちた。

    いつものように見回りをしていると、歳をとった男が1人祠堂で眠っていた。そいつはよく見知った顔で、とても満足そうな寝顔を見せるものだから叩き起こそうとした。それなのに体は冷たく硬くなっており、目覚める気配を微塵も感じさせない。「お前は、最後にここに戻ってきたのだな。」どこか満ち足りた腹の底と、虚空のできた胸の奥に喉がひりついた。
    「…葬式の準備をするぞ」あまりにも満足気な顔をしてるせいで涙は出てこなかった。お前は幸せだったのだな、最期まで正義を貫いて天寿を全うしたんだな、と頬が緩んでしまった。
    熱くなる目頭を押え、軽くなった師兄を弟子達に任せ、姑蘇に報せを送った。

    藍曦臣は首を傾げた。魏無羨という門弟の訃報が蓮花塢から届いたのだ。記憶力は確かに良いはずなのに、彼にはどうしても思い出せない事があった。魏無羨という名を聞いたこともない。自分が閉閑していた時に姑蘇に見えた客人だっただろうか。さてどう返事をしたものか。

    魏無羨の葬式は非常にひっそりと行われた。こいつの道呂に報せを送っても、お悔やみ申し上げます、と無難な返答をされた。こいつが何をしでかしたのか何となく察したから、金凌と門弟達とで見送ってやった。それがお前の望みなんだろ。最後の最後までお前らしいな。
    しかしお前の道侶の執着心はあの13年間を知ってる俺達の方が理解していたようだ。
    いつか必ずこの秘密は暴かれるだろう。
    お前に言われなくてもそんなこと分かってる、なんて背中を小突かれた気がした。

    静室はとても静かであった。しん、と張り詰めた空気に肌がひりひりする。何かが足りないように感じるけれど、たしかに毎日ここで過ごしていた記憶がある。いつからか飲みもしないのにお酒を作る為に田畑の面倒を見ることが日課になっていた。蓮の花が綺麗に咲くと心が踊るように誰かに報告をしたくなったのだがそれが誰だったのかが分からない。毎日のように曲を作っていたが、何のために作られた曲なのか分からない。裏山に何十羽といるうさぎ達を愛で、門弟達に指導をする。身体はその日課に慣らされているようで仙督としての業務を行いながらも忙しなく日々を過ごしていた。何かが足りないという気持ちすら忘れてしまう程になす事が多かった。出来上がった酒は誰が飲むわけでもなく、ただただ増えていくばかり。誰かが喜んでくれるのではないか、と蓮の池を大きくした。大きく美しい蓮の池は大切な目的を失い、ただのだだっ広い池のように見えた。書き上げた曲もなぜか悲しい音色を滲ませている。
    酒を作ることをやめた。蓮の池は見ているだけで気持ちが落ち着かなくなった。それでも池を壊す事はしたくなかったから門弟達に任せる事にした。曲を作る事もやめた。
    そうして仙督と夜狩だけになると胸の奥の空洞に気付いた。何も思い出せないのに目頭が熱くなり、何も持たない手を呆然と見つめた。
    「魏嬰」不思議と口がそう動いた。驚く程に馴染む言葉に意味は分からないまま「魏嬰」と繰り返した。誰かの名前だっただろうか。魏嬰と繰り返すだけで腕の中に体温を感じた。魏嬰と声にするだけで鼓動が少し駆け足になった。自分の人生で1番多く発した言葉が魏嬰なのではないだろうか、というほどその言葉を身体が覚えていた。
    何も思い出せないのに、自分の腕の中で体温を分け合った何かが確実にあり、思い出せない事に恐怖した。思い出せない事が貴方にとって良いことなのか悪いことなのかそれすらも分からない自分が不甲斐ない。ただひたすらに足りないものを探していた。探し回っていると、静室には確かに自分のモノではない、けれど大切な物が沢山あった。それは呪符であったり、笛や髄便と書かれた剣であったり、ただの落書きであったり。なぜ今まで気付かなかったのだろうかと言うほどに静室は暖かで、誰かの笑い声が聞こえる程に賑やかに感じた。「…なぜ…。」頬に温かな一筋の水滴が落ちる。何かが足りないと気付いてからもう数年経っているのだ。それまで普通に生きていたのはきっと彼の施した私の延命なのだろう。彼が、魏嬰が私に酒を作らせ、蓮の池の面倒を見させ、曲を作らせた。魏嬰が自分が居なくなっても私が息を止めぬようにと考えて趣味といえるものをさせたのだろう。私には魏嬰以外に何も無かったのだ、未だ記憶は戻らないのに彼の愛だけがじんわりと身を焦がしていく。恋焦がれても足りない。どうしたら私は貴方に会えるだろうか。

    無口な弟が感情を露わにして何かを探していた。心当たりは何もないはずなのに弟が探しているものが誰か分かってしまった。優しく強く、何者にも染まらない黒の衣を纏った名も知らぬ青年が頭に浮かぶ。何故だろうか。いつからか弟の隣にはその青年が立っているような気がしてならないのだ。何をする時、どこに行くにもその青年がいて、忘機の隣に彼がいないと不安を覚える程に彼らはずっと寄り添っていたような気がした。実際に青年がいる訳では無い。時折いるように見えるというだけで居ないことは分かっている。彼は、幽霊なのか、それとも人1人分では収まらないほどの意図的に消された記憶が見せる幻想なのだろうか…。
    忘機がいなくなってしまうような気がして、忘機には何も言えなかった。
    しかし、私と同じように記憶が足りない事を自覚している人間は多く存在していた。
    門弟の景儀と思追は特に顕著であり、忘機と一緒になってその記憶を探しに行っていた。

    景儀と思追は夜狩や、ふとした時に誰かからの教えを守って行動するのだ。誰から教えてもらったのだろうか。同じ考えを発言して、2人して顔を見合せた。とても大切な人の記憶が消えてしまったような感覚。息をしても肺に穴が空いてるのでは無いかというほどに胸に喪失感のみがそこには蹲っていた。金凌はそんな2人の様子を見ては、はぐらかすように話題を変える。そんな事を数年してたある時、含光君が血相を変えて何かを探しているのだ、私達もそれを探したい、しかし心当たりがないのだと金凌に伝えた。なぜだか金凌なら知っているような気がしたから。
    「そうか。思ったよりも遅かったな。」金凌はなぜか嬉しそうに、そしてやっと肩の荷が降りると少し寂しげに笑った。
    「おい、金凌!何を隠してる?教えてくれよ。含光君があんなになって探すものって一体なんなんだ。」「金凌、私からもお願いします。」
    「お前達はどこまで覚えてるんだ?奴の術がどれだけ強いのか分からないが、叔父上は寂しがり屋な奴のことだから完全には忘れさせていないだろうって言ってたけど、その様子じゃ魏無羨に関しては何も覚えていないようだな。」
    「はい。魏無羨という方を私達は聞いたこともありません。しかし含光君は魏嬰と呟かれていました。魏無羨と魏嬰は同一人物でしょうか。」
    「ああ。そのうち含光君なら自分で探し当てるだろ。それが故人の望みだ、探させておけ。」
    「そんな言い方はないだろ!?」「金凌、その人は含光君の大切な人かもしれませんが、私にとっても尊い人のように感じます。彼はなぜ…。」
    そこまで言って藍思追は言葉をとめた。
    含光君の死んだように生きてた13年間と、現在の焦燥を滲ませ普段の静けさを消し去り殺気を隠そうともしない彼を頭に浮かべたからだ。
    「…含光君を…生かすためですか」
    藍思追は自分で出した答えに納得してしまった。含光君の殺気は誰に向けたものでもなく、含光君自身に向けられたものであった。
    「たぶんな。私には魏無羨の考えは分からない。術には必ず解く方法がある。叔父上なら知ってるかもしれないが、私には教えてくれなかった。」
    「金凌ありがとう。明日、蓮花塢に含光君と一緒に伺います。」
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