「マヨイガ?」
突然耳へ飛び込んできた単語を司は思わず復唱した。はて誰が発したのかと辺りを見回すも、半日講義も終わった昼時の飯屋では右も左も隣に座る者とぺちゃくちゃぺちゃくちゃ食べてるのか話してるのかという様相で分かりはしない。
「司? どうかしたのか?」
かく言う司も級友と飯を食っているところだったので、突然きょろきょろとしだした司に級友から声がかかる。
「いや、少し気になる話が聞こえたものでな。誰が言ったのか気になった」
「ふうん、そうか。どんな話だ?」
「マヨイガ、というやつなんだが。何か知ってるか?」
聞かれたから素直に答えたが、あまりこの友人がそういった知識に詳しいとは思えない。
駄目で元々、そのつもりが意外にも友人は「ああ、最近よく聞く話だな」と事も無げに答える。
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