ある日の夢①私は龍のお守り役の男だった。
私がめんどうを見ている龍は、力強い爪とふさふさのたてがみを持っていて、内心私はそのお守りをできるのが誇らしかった。
お守り役は何をするのかというと、毎日龍のうろこを水で磨いてやるという、ただそれだけの仕事なのだ。これをしてやるとき、私の龍は丸い目でこちらをじいっと見上げてくる。龍は何も喋らないし、私も何も喋らないが、私たちは互いへの気持ちを了解していた。
永い永い間私たちは共にいた。そうでなくなる時が来るとも思わなかったが、龍は私より先に死んだ。動かなくなった巨体は岩でできた彫刻のようだった。
私は新しい龍を宛がわれたが、何もかもあの龍とは違っていた。
目を覚ました私は、隣の小平太が息をしていることにひどく安堵した。
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