たまにはどこかに出かけるか、とただでさえシングルベッドでは窮屈そうな幅と厚みのある身体を横たえながら、神田はぽつりとそんな風に傍らの外岡へと呟いた。セットされて上げられた前髪は、シャワーを浴びてからの行為の後はぺしゃんと下がって、いつもより少しだけ童顔に見えて、いつもついじっと見つめてしまうので、外岡はとっさに神田のその呟きには反応できなかった。
だが神田は気にせず、後戯めいてお互いの体液で湿った外岡の下生えの際を指先でなぞったり、たっぷりとねぶられた名残にまだ赤くぽっちりと熟した胸板の尖りをつまんだりと、年下の情人を弄びながら続ける。
「土曜はランク戦があるけど、日曜は任務もないし、昼くらいに待ち合わせて飯でも食ってからって感じで」
「いいんスか」
残り火をあおられ、外岡にしては少しだけ声を上ずらせながら聞き返す。
「いいってなんで?」
「だって、神田さん、忙しいんじゃ。予備校とか行ってるんでしょ」
「週一だよ。たまには気分転換くらいしたってバチは当たらないだろ。それに受験なんてある程度はノウハウと今までの蓄積で、慌てて詰め込むもんでもないし」
「そんなもんですか」
さすがに進学校は違うなあ、と体つきばかりか心構えまで何もかもが異なるふたつだけ年上の男ーそうもはやその在り方は成人を迎えていなくても、外岡からしたら十分に大人の牡だったーを、しみじみとして外岡は見つめた。
「どうした。まだ欲しいか。大丈夫そうなら、もう一回してもいいぞ」
「神田さんがお望みなら」
そう答えると、外岡はそそくさと神田の股ぐらの銃口を装填完了にする為に馴れた仕草で手を差し伸べた。
「おまえの意見を訊いてんだけどな」
「ああそうだ、ちょうど買いたいモンあったっス。ローションとコンドーム、終わりそうなんで」
即物的だなあ、と己の腹の上からひょいと顔を上げ、体液で淫らに濡れた唇とは対照的に淡々と呟く外岡に、神田は笑いかけてくしゃりと髪の毛をひとなでだけしてやった。