20210925「食欲の秋だからさ」
「カップラーメンに関係あるのか?」
ないねぇ、と笑いながらケイトがカップの蓋を開ければ、豚骨の独特の匂いとつんとする匂いが湯気と共に広がる。トレイの手にあるシーフード味が追いやられてしまうような強い匂いがひんやりとしてきた部屋に充満していく。
ぐしゃぐしゃになったシーツと汗や体液を吸って湿ったバスタオル、ローションのボトルとコンドームの箱をベッドの端に追いやって座り、寝間着代わりのTシャツだけを身につけて、熱湯ですらペットボトルの水を炎魔法で温めてカップラーメンを作る。運動後の空腹には抗えない。
知らないうちに日付はとっくに越えてしまってそろそろ土曜日の朝になる。限りなくだらしのない部屋でふたり、気持ちよく疲れた身体を寄せあって麺を啜る。
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