春風とオオカミくんには騙されない2春風とオオカミくんには騙されない(2)
しばらく待っていると、誰かが入ってきた。
髪の毛が長い、ふんわりとした雰囲気の女の子だった。
「はじめまして〜」
その女の子が話しかけてくる。
「福寿花野です〜、よろしくお願いします!」
「あっ、小宮山澄花です…よろしくお願いします」
「かのって呼んでください!」
「じゃあ私はすみかって呼んでください」
「何歳ですか?」
「17歳で高校3年生です」
「あ、私高2です!」
「じゃあ1歳違いですね!」
「ちなみに職業はモデルやってます〜」
「私は一般公募で来ました」
「そうなんですか!?今回から一般公募あるって聞いたから…え、めちゃくちゃかわいいですね!モデルやってるのかと…」
他愛もない話をしていると、また1人誰かが入ってきた。
「はじめまして、神田真桜です」
「はじめまして〜」
はっきりとしたような美人な子だ。
「まおって呼んでください、よろしくお願いします」
「美人……高校生ですか?」
「高3です」
「あ、じゃあ同い年ですね」
「よろしくお願いしますー」
他人行儀に挨拶が進んでいく。
4人目に現れた子は、まおちゃんと同じような美人で目を引くような子だった。
「べにこです。よろしくお願いします」
「え、大人っぽい…高校生ですか?」
「高校生です!今2年です」
5人目に現れた子は、元気で可愛いギャル系の女の子だった。
「一木あいなです!よろしくお願いしますー!え、みんな大人っぽいですね…みんな高校生ですか?」
「「「「高校生です」」」」
「え?高校1年生いますか?」
ここにいるのはみんな2年生と3年生だ。
「え!いない!え〜……頑張ろう」
あいなちゃんがそう言うと、女子全員の笑い声が響いた。
これで5人分の椅子が埋まった。
「それでは次に男子メンバーと合流するので移動します!」
スタッフさんがそう言った。
「男子何人かな?」
「同じ数だといいな〜」
そう話しながら、女子メンバーが次々と移動を始める。
私も移動を始めようとした。
「すみかちゃん!楽しみだね〜」
かのちゃんが私の手を繋ぎながら言った。
「そうだね。誰が来るのかな?」
「女子メンバー移動完了しました!」
「男子メンバー入ります!」
「カメラ入ります!5,4,3,2,1!」
程なくして1人目の男子メンバーが入って来た。
「…高校1年生の本田サリエル飛鳥です。よろしくお願いします」
あすかくんはハーフ系のイケメンだった。
「職業は俳優です」
「え、高校1年生同い年です!」
そう言ったあいなちゃんの目にはすでにハートマークが見えた。
「どことのハーフですか?」
「アメリカです」
「身長高いですね!何センチですか?」
「181cmです」
「え、かっこいい…」
あいなちゃんの質問攻めが続く。
「あいなちゃーん、次の男子スタンバイしてるから…」
まおちゃんが制止する。
あいなちゃんは「また後でお話しましょう」と言って黙った。
間もなく2人目の男子が入って来た。
「…庄司倖です。ゆきって呼んでください。職業は声優です」
かっこいいと言うよりは可愛いという言葉が似合う男子だ。
「ゆきくんは何歳ですか?」
今度はまおちゃんが質問する。
「高2です!同年代の人多そうだなぁ、仲良くしてください、よろしくお願いします!」
ゆきくんは全員の目を見ながらそう言う。
すると、一瞬だけかのちゃんのことを知り合いに会ったような目になった。
「…えっ」
ゆきくんは小さい声でそう言う。
「…かのちゃん、知り合い?」
私は小声で隣のかのちゃんに囁いた。
「ううん、知らない。今日が初対面」
…私の気のせいだったのだろうか?
3人目の男子は、目付きの鋭い男子だった。
「西野幸多です。高3です。よろしくお願いします」
「職業は何ですか?」
今度は私から質問した。
「歌手やってます。」
「…私、シンガーソングライターなんです。気が合いそうですね」
べにこちゃんが間に入ってくる。
「そうですね、よろしくお願いします。」
4人目の男子が入って来た。
「nitoといいます。高3で18歳です。よろしくお願いします」
笑顔が爽やかな男子だ。
「TikTokerとモデルやってます。」
「…モテそうですね。今まで何人と付き合ったんですか?」
今までとは違うような質問をしたのはかのちゃんだった。
「5人です…あ、じゃあ後でみんな何人と付き合ったとかそういう話しようよ。好きなタイプとか知りたいし」
にとくんがそう言うと、場がわっと盛り上がった。
「はい、ここでの撮影は終了です!お疲れ様でした!次の場所に移動するので準備よろしくお願いします!」
スタッフさんの声が響く。
「それから場面が変わるので、男子グループ女子グループで移動してください、それまで異性間交流は無しでお願いします!」
私は女子に混じり、移動を始める。
「あ〜あすかくんかっこよかったなぁ…はぁ〜一目惚れ」
「とか言ってあすかくんがオオカミだったらどうするのよ」
「あすかくんに限ってそんなことはないよぅ!」
あいなちゃんはもうすでにあすかくんにぞっこんのようだ。
「…すみかちゃんは第一印象誰がいいとかいた?」
かのちゃんがまた私に話しかけてくる。
「…うーん…」
私は少し考える。
「…今の段階ではいないかな。みんなと話してみないとわからない」
「やっぱりそうだよね〜。私も今はいない」
オオカミくんは誰だ?