春風とオオカミくんには騙されない(4)合流し、また女子と男子で分かれるとあいなちゃんはが右腕を見つめうっとりしていた。
「…あいな、合流してからずっとあんな感じなのよ」
まおちゃんが私に言った。
「ああ…あすかくんから貰えたんだね」
べにこちゃんがよかったね〜と言いながらあいなちゃんの頭を撫でる。
依然として幸せそうなあいなちゃんとは裏腹に、かのちゃんが左腕を押さえて複雑そうな顔をしていた。
「…大丈夫?」
私はかのちゃんに話しかける。
「…えっ、何?」
するとかのちゃんは何も無かったように笑う。
「具合悪い?」
「元気だよ〜!…聞いて、ゆきくんからブレスレット貰ったの!」
「よかったね!」
「すみかちゃんは誰かから貰った?」
「…あ、うん。にとくんとこうたくんから…」
「え、すごいね!2人から貰うなんて」
「でもまだ第一印象だからね…」
「これから次の場所に移動します、準備開始してください!」
私たちは次の場所に移動した。
次の場所は、近代的な3階ほどのビルだった。
「では、このまま前に行っていただいて。あとは手紙のままに行動してください。」
私たち9人がビルに入りそのまま進む。
ビルの中には特に階段等は無く、とても開放的な作りになっていた。
中には、赤と白の手紙があった。
ゆきくんが赤の手紙を手に取り、読む。
『「春風とオオカミくんには騙されない」では、ウォールアートに挑戦して頂きます。この建物の内面、約10メートルの高さの壁に絵を描きます。
出来上がったウォールアートは、一定期間公開します。公開日も決まっています。
みなさんで力を合わせて、期限内にウォールアートを完成させてください。』
ウォールアート…
「え、ここに絵を描くの?」
「すごいな…」
皆のざわつきが聞こえる。
べにこちゃんが白い手紙を手に取り、読む。
『「オオカミくん」シリーズ恒例のオオカミくん投票。今回の「春風とオオカミくんには騙されない」では、』
べにこちゃんは少し溜めてから読んだ。
『オオカミくん投票はありません。皆さん安心して作品作りに取り掛かりましょう。』
「どういうこと?オオカミくん投票がない…?」
「ということはこの9人でずっと過ごせるの!?」
「はい、それでは次にシリーズ恒例の太陽LINE、月LINE制度を説明します!」
スタッフさんから声が掛かる。
「もうご存知かもしれないけど、太陽LINEと月LINEは1回ずつ使用可能です!これから皆さんにはLINEグループを作って頂きます、そこで『○○太陽LINEもしくは月LINEを使います』と申請してから使ってください!太陽LINEはそのグループLINE内で使用して大丈夫です。ですが、月LINEは申請して使いたい人の個人チャットに移動して使用してください。…ここまで何か質問はありますか?」
「はい。いいですか?」
かのちゃんが手を上げた。
「どうぞ!」
「…月LINEは同性に使うのは可能ですか?」
「はい、問題ありませんよ!」
「そうですか、良かったです〜」
「…あ、ひとつ言い忘れましたが出演者同士のプライベートでのLINEはNGです」
「え!何でですか!?」
あいなちゃんがびっくりしたように聞いた。
「いい質問ですね〜!カメラが回ってないところで仲良くなって言ってしまう可能性があるからです!次カメラが回った時あれ、前と違うって視聴者が思ってしまうからです!関係が変わらない範囲でのTwitterのリプとかはOKですよ!」
「え〜…」
あいなちゃんは不服そうな顔だ。
「あとSNSとかも注意してください!放送されるまで情報公開はやめてください!」
オオカミくんは誰だ?