Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    hirose_anu

    一次創作

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    hirose_anu

    ☆quiet follow

    春風とオオカミくんには騙されない(5)

    春風とオオカミくんには騙されない(5)春風とオオカミくんには騙されない(5)

    翌日。
    今日はオープニングムービーの撮影日だった。

    「はい、それではインスタアップ用の写真撮ります!」
    私はとても緊張していた。
    「じゃあ次すみかちゃん撮影します!」
    普通の写真撮影とは違う、ちゃんと撮られるということに緊張が止まらなかった。

    「じゃあまず手で顔を隠すようにしてください!」
    「こうですか!」
    私は両手で顔を押さえる。
    「そんな感じ!風出します!」
    目の前から結構な勢いで風が吹いてくる。
    間髪入れずにフラッシュが焚かれる。
    「OK!じゃあ次は顔出して写真撮ります!」
    カシャ
    「うーん…表情ちょっと固いなぁ」
    カシャ
    「うーん…もう少しポーズない?」
    その時だった。
    そう言ったカメラマンの後ろで、にとくんとこうたくんが変なポーズをしていた。
    「え?」
    私がそう言うと、2人は変顔をした。
    私は思わず笑ってしまう。
    カシャ
    「すみかちゃん〜それは笑いすぎかな!もっとキメ顔な感じで」

    それからリラックスして撮影ができて、無事撮影が終了した。

    撮影が終わり、私たちは昨日のビルに移動した。
    「今日から作品制作に入ります!作品制作の期限は6月末です!期限内に完成させましょう!」
    「「「よろしくお願いします!」」」

    今日から作業が始まった。
    「とりあえず渡されたデザイン通りにやってみようか」
    ゆきくんがスタッフさんから渡されたウォールアートの完成図を出す。
    「…これをこの大きさの壁に書くのはすごい話だよね…」
    「まずは壁に下書き書いてから色つけ考えよう」

    私たち9人は壁の下の方から専用の鉛筆を使って下書きを描き始めた。
    「これ上の方どうするんだろうね…」
    「クレーン車とか使って描くのかな??」
    「あいなちゃんクレーン車は物吊って運ぶやつだよ…」
    「え!」
    「あいなちゃん吊られるの?」
    「んふふふふふ」
    あすかくんとあいなちゃんは着実に仲良くなっている。
    ゆきくんとかのちゃんは隣にいるにも関わらず、何も喋らず作業している。
    私はこうたくんとにとくんの所に行った。
    「ねえ、2人とも」
    「ん?どうしたの?」
    「…さっきの撮影の時…ありがとう」
    「ああ!あれかぁ」
    「…俺も初撮影あんな感じだった」
    突然こうたくんがそう言った。
    「え?」
    「俺高1でデビューしたんだけど、その時アー写撮るってなって…でも俺どんな表情すればいいかわからなくてさ。他のメンバーがすぐ終わったのに俺一人に1時間くらいかかってた」
    「え、お前そうなの?」
    「そうだわ。…すみかちゃんがこの先どう生きていくかは知らないけどみんな最初はそんな感じだったんだから」
    「…勉強になります」
    私がそう言ったその時だった。

    「みんな、ごめん!」
    まおちゃんの声がした。
    「これから別の仕事入ったので帰ります…」
    「え!戻ってくる?」
    「今日はもう作業できない…」
    「え〜!気をつけてね!」
    まおちゃんは作業場を去っていった。

    数時間後…
    「ご飯作ったから食べよう!」
    べにこちゃんが軽食を作って作業場にあるテーブルに置いた。
    みんなが席に着いたその時だった。
    『LINE♪』『ピロリロリン♪』
    みんなの携帯が一斉に鳴り響く。
    みんなが携帯を取る。
    私は携帯を取らず固まっていた。
    「…え、見ないの?」
    隣のにとくんが話しかけてくる。
    「…ああ、ううん見る」
    私はやっと携帯を手に取った。
    『まお:まおです!太陽LINE使います!』
    「え…もう太陽LINE?」
    「昨日の今日で…誰に使うのかしら」
    またみんなの携帯が鳴った。
    『まお:こうたくん、今度一緒に遊びませんか?』

    こうたくんはなんとも言えなそうな顔をしていた。
    「…行くの?」
    私は思わず聞いてしまった。
    「…」
    こうたくんは何も言わない。

    「LINEの通知数1000越えって初めて見た〜」
    かのちゃんが突然話しかけてきた。
    「うわっびっくりした」
    「びっくりさせるつもりなかったの…ごめん。」
    私はスマホの電源ボタンを押し、画面を暗くした。

    …LINEってやっぱり1番やり取りしやすいもんなぁ。
    やっぱりこのままじゃダメだよなぁ…
    私のスマホが3回バイブ音を鳴らす。

    『クソ男:なあ』
    『クソ男:なにしてんの』
    『クソ男:返事してや』


    オオカミくんは誰だ?
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator