春風とオオカミくんには騙されない(6)春風とオオカミくんには騙されない(6)
1週間後。
私は作業場に行った。
「おはようー」
「「おはようー」」
作業場にはあすかくんとあいながいた。
「え、なんか邪魔しちゃったごめん」
「なんでよ!全然大丈夫だよ!…それよりすみか、今日だね」
「…太陽LINEデートね」
「行かないの?」
「…迷ってるんだ。行こうか行かないか迷って結局ここに来ちゃった」
「そうなんだ。途中で行きたいって思っても俺たち大丈夫だから行っておいで」
「2人ともありがとう。じゃあ着替えてきます」
しばらくして他のメンバーたちが集まった。
「え、もしかして太陽LINE組2人きりじゃない?」
「どうする?誰か行く?」
ざわつく作業場。
その時だった。
「ねえ、すみかちょっと来て」
かのが私を呼ぶ。
私とかのは作業場の外に出た。
「…ねえ、行かなくていいの?」
「…私もちょっと、どうすればいいのか分からなくなってきちゃった」
「…迷ってるくらいなら行った方がいいと思うよ。今2人で何しててどんなことしてるのかなって思うなら」
「…」
私は1人立ち上がって作業場に戻った。
「…あの!」
作業場に入るなり叫ぶ。
「あの…ちょっと行ってきていいですか!」
「いいよ、楽しんできな」
にとくんがそう言った。
「行ってらっしゃーい!」
「楽しんでこいよ!」
みんなが口々にそう言う。
「…ありがとう!」
私は作業着から着替え、そのまま作業場を出た。
「…にと良かったの?追いかけなくて」
すみかがいなくなった作業場で、あすかがにとに話しかける。
「…すみかちゃんがどう思ってるかわからないから」
「…かのちゃん」
すみかを外で見送ったかのの元に誰かが来た。
「…ゆきくん」
「ねえ、ちょっと話したいんだけどいいかな」
「…うん」
かのは複雑そうにうなずいた。
まおとこうたくんがデートしていた場所は、海の見える公園だった。
スタッフさんに2人がどこにいるか聞き、その場所まで向かう。
そして、2人の姿が見えた。
先に気づいたのはまおだった。
「えっ」
それに反応しこうたくんもこっちを見る。
「すみません混ぜてください」
「いいよー」
まおは意外にも笑顔で私を招き入れた。
…太陽LINEだったからなんとなく覚悟はしていたのだろう。
「さっきまで2人でどんなことしてたの?」
「その辺話しながら歩いてた」
「ふ〜ん…」
しばらくの沈黙が漂う。
「…すみかちゃん、2人で話そう」
こうたくんがそう言った。
「うん」
私たちはまおから離れ、近くのベンチに座った。
「…来てくれてありがとう」
「どういたしまして」
「まおちゃんには悪い気がするけど…すみかちゃんが来てくれて俺本当に嬉しいよ」
「…そんなに?」
「だって第一印象からずっと俺の気持ち変わらないもん」
「…ちなみにまおのことはどう思ってる?」
「なんとも思ってないわけじゃないよ。今日誘ってくれたのもすごく嬉しい。でもまだすみかちゃんの方が強いっていうか…」
「ああ…」
私はあの質問をした。
「…こうたくん、オオカミじゃないよね?」
「うん。俺はオオカミじゃない」
私はこうたくんにそう言われても何も返せずにいた。
そして、私たち2人はまおのところに戻った。
「おかえり!」
「ただいま」
こうたくんは何も言わなかった。
私は少しもやもやしていた。
近いうちに気持ちを整理しなければならない。
そう感じていた。
オオカミくんは誰だ?