A white medium 1412 博物館に怪盗キッドが現れてから一週間が経った頃。すっかり日常を取り戻した米花町だが、とある喫茶店にいる二人の探偵だけは未だに彼の話題を口にしていた。
小学校から帰ってきた江戸川コナンは、数日振りに訪れた喫茶ポアロで推理小説を読んでいた。
「ねえ、コナンくん」
静まり返った店内に良く通る声が響く。今日は雨が降っていて客足が少ない上、まだ夕方のピークには早いからかコナンの他に客はいない。ページを捲る手を止め顔を上げると、カウンターの中でこちらを見つめる金髪の青年と目が合った。
「なぁに?」
と特に身構えることもなくいつもの調子で尋ねれば、声の主もカウンターに頬杖をついて世間話でもするように先を続ける。
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