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    hinoki_a3_tdr

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    hinoki_a3_tdr

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    千景と綴
    春組第四公演直後くらい
    ヤマもオチもない(伝わるのか?)

    新たなメンバーを迎えた公演は、順調とはお世辞にも言えないドタバタ具合で幕を下ろした。春組に限らず、どうしてうちの劇団はこうもトラブルに見舞われるのか。
    「……俺に何か用?」
    トラブルの張本人、千景さんに声をかけられたことで自身が彼をじっと見つめていたことに気づく。千景さんはいつもの笑みを浮かべながらもどこが居心地が悪そうだ。
    この人もこの短期間で随分と変わったものだ。入った当初は掴みどころがなく、どこか壁があった。その壁を取り払えれば、そんな思いが反映されてしまったのが彼が主演の脚本だ。私情を混ぜるのはどうかと思うが、結果良ければ全て良しと言うことでひとつ。
    「えーと、綴?」
    「おわっ」
    「さっきから何回か声掛けたんだけど、聞こえなかった?」
    俺の目の前で手をヒラヒラと振り、今度は少し心配の混ざった表情。ほんと、人とは変わるものだ。
    「すんません、聞こえてました」
    「……何か用事?」
    「いや、千景さん変わったなーって」
    「俺と君はついこの間初めましてだったと思うけど」
    皮肉と嫌味がはっきりと伝わる。どうやら俺の発言はお気に召さなかった模様。しかし、この人もしかして自覚がないんだろうか?
    「声に出てるよ。そんなに俺が変?」
    「変って言うか、すごく丸くなりましたよね」
    「……君はもう少し思慮深いと思ってたんだけどなぁ」
    「そういうとこっすよ。ここ来てすぐなら適当に流してたでしょ」
    千景さんは眉間に皺を寄せぐっと押し黙った。どうも千景さんにとってその話題は望ましくないらしい。
    「俺にだって思うところがあるんだよ」
    「思うところの結果が今なら、良かったんでしょうねぇ」
    「綴って結構意地が悪いよね、さすが悪役である東の魔法使いを勤め上げただけある」
    「千景さん前も言ってましたよね、俺に悪役の素質があるって」
    「だって定番だろ? ストーリーテラーが黒幕っていうのは」
    しれっと酷いことを言う。誰が黒幕だ。だがそれはそれでいいアイデアかもしれない。俺は手元にあったノートに簡単にメモを取る。
    「アイデア料はいただけるのかな?」
    「そうですね、今日の晩飯に坦々麺とかでどうです?」
    「いいね、辛めに頼むよ」
    安いのか高いのか、少し判断に悩みながらも頭の中でスーパーのチラシを広げる。坦々麺の材料なら、駅前のスーパーが安い。頃合もちょうどいい、そうと決まれば早速買い出しだ。広げていた文具を片付けて財布とエコバッグを準備する。
    「どうせだから、連れてってあげるよ」
    俺の横で得意げに車のキーをぶら下げている姿が、まるで褒めてくれとねだる弟たちと被って吹き出してしまう。笑い転げる俺と、困惑する千景さん。その対比がさらに俺の笑いを誘う。
    ああやっぱり、千景さん丸くなった。
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    Haruto9000

    DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第4話。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    徐々にカルデアに溶け込み始めた、女性のクー・フーリン。
    プロトタイプやキャスターの自分とはなじんだが、オルタナティブの自分とは、いまいち馬が合わない。
    ある日、女王メイヴが彼女をお茶会に誘う。
    ミラーリング #4(カルデア編) 初めて会ったときは無邪気な娘。
     頰を林檎のように赤くして、仲間と競い、目をきらきらと輝かせる姿は人生の喜びに満ちていた。
     次に会ったときは目に憂いを浮かべた戦士。
     無礼に私の手を振り払い、私の野心を薙ぎ倒していく狗が憎くて憎くてたまらなかった。
     けれど、その獰猛な瞳の奥にどうしようもない孤独を見つけたとき、私は生まれて初めてこんなにも──一人の人間が、彼女が欲しいと思ったの。

    ✳︎✳︎✳︎

    「性別の違う自分?」
     アーサーはぱちりと瞬きをした。隣に座るアルトリアの顔を見、またマスターの顔を見る。
    「そう。君は色んな世界を渡り歩いてるんだろう? そういう事象に詳しくないかなと思って」
     ダ・ヴィンチの言葉に、アーサーは困ったように首をかしげた。
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