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    志成乃

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    志成乃

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    キミがいなくなったことが信じられないんだ。(ついったまとめ)

    #シャム・メイカー!
    shamMakers!

    からっぽ鏡を布を使って撫でる。
    いつも空がメイクをするときに使っていた鏡だ。
    まるで最初からこうなることが分かっていたかのように、空の部屋は物が少なかった。
    撫でたところで、毎日のように部屋を掃除したところで、キミは帰って来ない。
    キミを出迎える準備は出来ているのに。
    「おかえり」と、何度だって言ってあげられるのに。
    キミの歌声が好きだと、直接言えば良かったのだろうか。
    行かないで、と駄々をこねれば、キミは立ち止まってくれたのだろうか。
    ボクが一番キミの傍に居たのに。

    キミは別の誰かに戻ったのだろう、ボクに何も告げずに。





    親父のテーブルにあったスマホを無理やり奪い、ボタンを長押しして電源を入れる。
    ホーム画面が出てきて、「設定してください」との文字。
    スマホは初期化されていた。
    まさか、と思ってギャラリーを見た。
    ゼロ。
    連絡先、ゼロ。
    何も残っていない。
    俺たちとの思い出は完全に消えていた。
    立つ鳥跡を濁さず……そういうことか。
    何も告げずに、何も語らずに、アイツは消えた。簡単に抜けられるグループなのか、俺は聞いた。
    あいつは即答して、「うん」と言った。
    嘘つきなアイツは、こればかりは嘘をつかなかったのか。
    悔しい。
    同じグループでずっとやってきたのに、お前の中で俺達はその程度ってことかよ。





    君が笑う姿を何度か目にしている。
    いつも困った顔で笑っていた。
    たまに吹き出して笑ったときもあったけど、いつも手で顔を覆い隠していた。
    どこかつまらなそうにしていて、どこか(たまに)遠くを見ていて……その目に俺たちは映っていたのだろうか。
    映っていなかったのかもしれない。
    イヤホンをしている君は自分の世界に入り込んでいて、誰も寄せ付けやしなかった。
    同じグループの俺たちですら、君の世界には入れなかった。
    君のことを友達だと思っていたのは俺だけ、俺達だけだったのか?
    嫌だったのか?
    俺は友達だと思っている。
    君の声が聞きたい。
    聞かせて欲しい。
    嘘で固めた声じゃ無くて、君の本当の声を。
    「君とは、普通の友達として付き合っていきたかったな」なんて、言わないで。
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