Forbidden Colors 私の行いは、全て隠しようの無い罪だ。
悪魔祓いが悪魔を誅しなかったこと。
悪魔が本当に悪かを疑ったこと。
黒い杭をその心臓に突き刺せなかったこと。
私を育んだ教会に背を向けたこと。
悪魔との邂逅を一度でも願ってしまったこと。
無垢な竜の子を愛おしく思ってしまったこと。
再臨の日に煉獄へ堕とされるだろう私は、弱き人間故に浅ましくもあなたに和解を乞う。痛悔し許されたいと願っている。愛することで愛されたいと願っている。
悪魔に魅入られたこの私が。
禁じられた行いに身を窶したこの私が。
この私が——
「……また燃やすのか」
手記を暖炉の火に焚べるのを咎めるでもなく興味半分といった口振りで問うてくるノースディンの声に、私は振り返らぬままじっとそれが黒く燃え尽きるのを眺めていた。
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