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    Satsuki

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    Satsuki

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    ◎灰色の悪魔と人食い燕の妄想は何度しても楽しい!!という話。無双軸??220516

    発売前邂逅同衾妄想「金はあまり出せねえが……そうだな、俺もつける、って言ったらどうだ?」
     ユーリスは灰色の悪魔の目の前で、テーブルの上に腰掛けて見せた。長い足を組み、悪戯っぽい、相手を値踏みする目で黒髪の男を見上げる。
     灰色の悪魔、というのは、この男の二つ名だ。誰が呼んだか、表情ひとつ変えずに敵を屠っていく非情さに、そんな名がついたらしい。じっとユーリスのことを見ている目は、なるほど感情を浮かべず冷淡そうな印象を受けた。彼を雇うことができれば、蠍の連中にひと泡吹かせてやることができるだろう。
    「仕事を受けてくれるなら、楽しい一夜を過ごさせてやる。意味、分かるよな?」
    「…………」
    ユーリスが人好きする笑顔でニッと笑いかけてやっても、灰色の悪魔はちょっと瞬きをしてから、ユーリスのことを上から下までぐるっと一度見たきりだった。
    「仕事は受けよう。『蠍の刺青』には、度々手を焼かされている」
    「そうこなくっちゃ! よし……じゃあこれは前金だ、受け取れ」
    「前金はいらない」
    「……なんだ? もしかして、俺様の方を先にいただきたい、とか……?」
    ユーリスの言葉に、灰色の悪魔は、また意味ありげな眼差しを返しただけだった。肯定とも否定ともつかぬ視線に、ユーリスは背筋がヒヤリとする。もっと湿った、欲に塗れた視線になら、慣れていた。こちらを視姦するような、じっとりとした目なら怖くない。しかし、灰色の悪魔のそれは、まるで心を見透かされているような。もっと、自分の思考の深い場所を覗かれているような……そんな眼をしていた。
    「……見た目によらずがっついてんなあ、灰色の悪魔さんよ。逢瀬の約束は、戦いの後にするから楽しみなもんだろ」
    ユーリスがそう笑うと、灰色の悪魔はやっとわずかに口元を緩めたように見えた。
    「ベレト」
    「?」
    「俺の名は、ベレトだ」
    外套を翻し、灰色の悪魔は静かに部屋を出て行った。お頭、と部下に呼びかけられ、ユーリスはハッとして唾を飲み込む。手が冷たい。あの傭兵を前にして、緊張していたのだ。
    「おい、武器の手入れを念入りにさせておけ。明日は荒れるぞ」
    奴の雰囲気に飲まれていた。自分らしからぬ交渉の場になったことに、ユーリスは少々眉を顰める。
    (チッ……面白えじゃねえか……!)
    出会ったばかりだというのに、存外、ベレトに対する興味が湧いていた。早くもう一度、彼と会話してみたい。そう、思う程度には。
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    Satsuki

    DOODLE雪女パロ的なシルとフェリ。書いた人はフェリを美人だと思っています。
    山の天気は変わりやすい。サク、と、踏み出した足は膝までパウダースノーに埋まり、幼いシルヴァンは自分の吐き出した息の白さに視界を阻まれ途方に暮れた。
     数を教えてくれたのは兄上だった。1から1000まで数えられるようになったから、ウサギを見に連れて行ってやる。そう言う兄の温かな手に引かれて、シルヴァンは父や母に黙って家を遠く離れる不安に蓋をしていたのだが、マイクランが山の中腹で手を離したので途端にさびしくなった。
    「いいか、俺がうさぎを巣から追い立ててくるから、お前が捕まえるんだ。ここで、1000を1000回数えて、待ってろよ」
    「1000を1000回も?」
     シルヴァンはびっくりした。そんなに数えられるだろうか。両手の指は10本しかないのに。しかし泣き言を言ったら兄は怒り出してしまうかもしれない。マイクランはどうも、弟がわがままを言うのが世界で一番嫌いらしいのだ。仕方なく、シルヴァンはマイクランの背を見送って、数を数え始めた。だんだん心細くなってきて、どうして兄について行かなかったのだろうと後悔し始めた。そのうちに天気が変わって、ちらちら雪が降り始め、シルヴァンは自分がいくつまで数えたのか分からなくなってしまった。
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