束縛すぐゅ私の彼氏は重い男だ。
本人も自覚はあるようだけど束縛は酷くなっていくばかりでちょっとうんざりしていた。仕事相手にまで妬かれるのはめんどいし、門限だの毎日通話だの細かいルールを決められてだるい。かっこいいし好きだったけど最近は喧嘩ばかりだし、正直もう別れたかった。
だから向こうからふってもらおうと思って、ひどい態度をとることにした。
連絡はほぼ無視して忙しいから会えないと伝えた。けどそしたら「そう、仕事頑張ってるんだね。私が君に合わせるよ」って言われちゃったけど。それでも、約束の時間には遅れる、会っても上の空…なんて事を繰り返し、ついには彼の言いつけを破って、男と二人で会ってみたりもした。彼が一番嫌う行為だ。
すべては別れるために。でも、傑はそんな簡単にはいかなかった。
「君はそんなに私を怒らせたいんだね。ふ …うん、今ね、とても怒ってるよ。深く傷ついたし、一生許せそうにないな。別れる…?はは、何の為に。馬鹿だね、私がそんな事で嫌うと思ったのかい?」
ボキッと鈍い音を立てて足が折られた。ぎゃあ、ともひい、ともつかないような、言葉にならない悲鳴が口から零れる。
「痛いね」
「苦しいね」
「私も心が痛いよ。でもいけない事をしたのは君だから」
もう片方の足が逝った。涙がぽたぽた床に垂れている。激痛を逃がそうと懸命に息を吸う。
「悪い子でも愛してるよ。…残念だったね」
傑はうすくわらって、痛みに喘ぐ私の唇に噛みついた。