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    FineRisoluto

    @FineRisoluto

    Fine Risolutoふぃーねりぞるーと。FF14用アカ。 FF14の自機小説を公開しています。
    pixivにもいます(こっちの名義は鳥羽直人)
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    ・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。

    ある「元」光の戦士の6.03その14 フィーネは今日もこき使われていた。
    「こんなことなら罰金、自分で払うんだった~」
     なげくフィーネをよそ目に、フェオ=ウルはミーン工芸館の職人の仕事を眺めていた。
    「あなた、本当はお金持ちなのに隠しているからそんなことになるのよ」
     彼女は旅に同行するうちに、フィーネが各地域に隠し持つ資産を知ったのだ。
    「どこだったかしら、家を貸してお金をもらっている地域もあったわよね。確か……」
    「シロガネね。でも意外と利益は少ないんだよ。建物の老朽化も私のお金で対処しないと入居者が減っちゃうしさ」
    「少なくとも罰金や食費の支払いを惜しむ必要はないでしょう、あなた」
    「何もしたくない時期だってあるじゃない?そういう時のために貯金してるんだよ」
     ぶつくさ言いながらもフィーネは彫金の仕事を片付けていく。
     今やフィーネの名前は闇の戦士の正体としてよりも、いろんな物を作っている職人として知られていた。
    「闇の戦士って呼ばれるより気楽だけど、仕事が増えすぎたのは計算外だった」
     嘆きながら完成した品を後ろの台に移そうと振り返ったとき、歩いてくるカットリスと目が合う。
    「職人の仕事は退屈かい?」
     腕組みして尋ねられ、フィーネはうーんとうめきながら答える。
    「わりと好きだけど、飽き性だから違うこともしたい」
     また小言を言われるかと思い身構えるフィーネにカットリスは微笑んだ。
    「よし、じゃあ違うこと、してもらおうか」
    「うわぁ……」
     どうせ仕事の話だろう、どう逃げようかと考えるフィーネの肩にフェオが座る。
    「あんたには行商をやってもらう。経験はあるかい?」
    「子どものころにイヤイヤやらされていたからできるよ」
    「やる気がなさそうなことを除けば本当に優秀だね、あんたは。じゃあ一人でも行商に行けるんだね」
    「行けますけど……」
     相変わらず嫌そうなフィーネにお構いなしでカットリスは説明を進める。
    「……というわけであんたにはオールドシャーレアンってところに行ってほしいわけ。そもそもあんたにしか行けないし」
    「なんでミーン工芸館がシャーレアンの仕事してるの?」
    「フェオ=ウルに頼んで、あんたの手紙と一緒にカタログを送ったら注文取れた。あと、納品ついでに他の商品も売り込んで来ておくれ。つまり行商をしてくれってこと」
     終始嫌そうなフィーネに反して意気揚々とカットリスは段取りを進めていく。
    「あ、そうそう」
     ひと通り話し終えたカットリスが話題を変える。
    「シャーレアンにはあんたの知り合いがたくさんいるんだろ?ちょっとくらい遅くなっても大丈夫だから、自由にしておいで」
     ほう、とフィーネの表情が変わる。
    「ルヴェユール家なら、ごろごろさせてくれるかもしれない」
    「ごろごろしてこいって言ったんじゃないよ……。あんたもそろそろ、冒険もしたいのかなと思ったから。行きたければ行けば良いし、気が向かなければまた帰ってきな。仕事はたくさんあるから食い扶持には困らせないよ」
     冒険者の収入は不安定だ。仮に出費がかさんで素寒貧になったとしても、クリスタリウムに戻ってくることさえできれば雇ってくれると言うのは心強い。
     フェオの言うようにへそくりは貯め込んでいるし、ペンダント居住館の部屋の家賃もまとめて払えている。
     収入にならなさそうでも、面白そうな冒険話があれば行ってみても良いかもしれない。
    「旅が長くなりそうなら、フェオに頼んで連絡よこしなよ」
     熟考するフィーネをおいてカットリスは持ち場に戻る。
    「また若木が世話を焼かれているわ」
     暇を持て余したフェオはフィーネの髪を優しく引っ張る。
    「そもそもさ。私が旅立ったらフェオちゃんは来てくれるの?」
    「置いていったら火のルーンで燃やすのだわ」
     言いながらフェオが腕に力を込め、髪ごと頭を引っ張られてフィーネの首の骨から小さくぽきりと音が鳴る。
    「あれとっても熱いんだよ。鎧なしでは受けたくない」
     頭を傾けたまま遠い目をしたフィーネに、作業を再開したカットリスが渋い声をかける。
    「食らったことあるんだね」
    「先代ティターニアにね」
     二人のやりとりをほほえましく眺めながら、フェオ=ウルは髪の毛を放し飛び上がる。
    「今のティターニアのルーンの方が痛いわよ?」
    「だってさ」
     フィーネが誰に言うでもなくつぶやく。
    この相棒のことは本当に怒らせないようにしよう。
    笑うカットリスを尻目に何度目かわからない決意を固め、フィーネは再びの冒険に思いを馳せる。
    今度はどんな旅になるだろう。できれば楽しいことだらけだと良いな。
    「ねえ、あなた。向こうの世界に帰る気になっているの?」
     眼前を飛ぶフェオがたずねてくる。
    「前も言ったけど」
     現実に引き戻されたフィーネは答えながらも素材を作業台に並べていく。
    「今、私が住んでいるのはこっちだから。気が向いたら向こうに行って、気が済んだらこっちの世界に帰って来るっていう方が気楽で良いんだ」
    「そんなことも言っていたわね」
     フェオは自分の『かわいい若木』の姿を眺める。
    数ヶ月前、彼女は激しい戦いで負った傷も治りきらぬまま、クリスタリウムにやって来た。そんなフィーネの傷はすっかり癒えて、今では奔放に日々を過ごしている。
     フェオはこのままフィーネがクリスタリウムにいれば良いのにと思う。
    「シャーレアンにはどんな食べ物があるのかしら?」
     一方で、旅に出ないなんて『かわいい若木』らしくないとも考えていた。
    「賢人パンは食べてみてほしいな」
     素材を加工しながらフィーネはシャーレアンの名物(?)の話をする。
    「あら、パンは好きよ!若木のおすすめなのね?」
    「おすすめ……かなあ?一回は食べてみて欲しい味……かなあ?」
     フィーネの発言を全力でポジティブな方向に受け止めたフェオもまた、新たなる冒険と、そこにあるであろう美味に思いを馳せる。
     フィーネの旅はこれからも見守られていくだろう。
     『美しい枝』は『かわいい若木』の旅についていくのが大好きなのだから。

    ―ある「元」光の戦士の6.03 Fine―
    次回からは、ある「元」光の戦士の7.Xが始まります。

    ~おまけ~
    先代ティターニア
    闇の戦士が戦ったティターニアのこと。当代ティターニアにあたるのがフェオ=ウル。

    ある「元」光の戦士の6.03あとがき
     ある「元」光の戦士の6.03も時間がかかりましたが無事十四話の区切りを迎えることができました。
     この文章を書いているのは二〇二五年三月十ニ日。6.Xが終わっているどころか7.2がリリースされる寸前になってしまいました。
     最新パッチに追いつけてなさすぎる。このシリーズの話の内容だとあまり影響ないけど。
     それでもシリーズタイトルを6.03とかじゃなくて6.Xとかにしておけば最新パッチあたりの話ですよという感じで柔軟に続けられて良かったと思いました切実に。
     というわけでこのシリーズの続編はある「元」光の戦士の7.Xにしようと思います。書きたい話はまだまだたくさんあるんだ。
     クリスタリウムでのんびりしていたフィーネですが、そろそろ冒険者にも戻るようですね。でも「元」光の戦士として、今までよりは気楽に構えているのではないでしょうか。
     シリアスなお話は原作にお任せして、観光か?と思えるくらいゆるいトラル大陸旅行記が書けたら良いですね。
    ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
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    FineRisoluto

    DONE・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。
    ある「元」光の戦士の6.03その9「なぜクラフターをやるんだ、という人がいる」
     フィーネは斧を振り下ろす。脇には既に伐採を終えたパイン原木が山になっていた。
    「ええ」
     フェオはその山の上に腰掛けて両手で頬杖をついている。
    「なぜギャザるのかと問う人もいる」
    「そうなのね」
     静寂の中をアオサギ滝の水が流れ落ちる音が心地良い。二人はヤンサを訪れていた。
    「でもクラフターもギャザラーも目的のためにするわけじゃないんだ」
     木に斧が打ち込まれる音がリズミカルに静寂を切り裂いていく。
    「お仕事だからするんだと思っていたのだわ」
    「順番が逆なんだよ。クラフターもギャザラーも仕事ではあると思う。だけどそうじゃない。仕事だからするんじゃあないんだ。やりたいことをして、楽しくなって続けているうちにそれが仕事になっていくのが一番良いんだ」
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