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    FineRisoluto

    @FineRisoluto

    Fine Risolutoふぃーねりぞるーと。FF14用アカ。 FF14の自機小説を公開しています。
    pixivにもいます(こっちの名義は鳥羽直人)
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    !FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください!
    ★この小説について★
    FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
    大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。
    フィーネ:作者の自機。アウラ・ゼラの女性。

    ある「元」光の戦士の6.02その14 カットリスは視界に入った「それ」を見なかったことにした。
     誰もいないミーン工芸館。朝一番にここにきて、一日の仕事の準備をし、コーヒーを入れて一息つく。彼女のモーニングルーティンだ。
    「夜が戻って、時間の使い方にもメリハリがつくようになったね。何十年も生きていて、夜に暗くなるなんて概念なかったから最初は戸惑ったけれど。慣れると良いものだね」
     静かな時間が流れていく。どこかで鳥のさえずりが聞こえる。朝のやや冷えた独特の空気感。
     誰もいないミーン工芸館……。
    「誰もいないんだけどね……いつもなら」
     スルーしきれなくなり、カットリスはついに「それ」に話しかける。
    「あんた、いつまでその状態でいるつもり?」
     静かな時間が流れていく。鳥はいなくなったようだ。「それ」からの反応が得られないカットリスはややいらだちを含んだ声を上げる。
    「無視するんじゃないよ」
     静かな時間が流……。
    「おい」
     怒り始めたカットリスがドスの利いた声になっていく。
    「あんた、後ろパンツ見えてるよ」
    「え、うそ」
     やっと反応した「それ」ことフィーネが天井に向けて突き上げていた両足をゆっくりと下ろし、三点倒立の姿勢から直立姿勢になる。
    「うわーいつから見えてた早く教えてよ」
    「そもそも朝薄暗い時間に一人で三点倒立しているのがおかしいと思わない」
    「考えごとしてたんだよ」
    「答えになっていない」
    「考えごとする時、頭に血を流したいじゃない」
    「三点倒立はしない」
    「えー」
    「シャツ、めくれ上がってる……あんた腹筋割れてるんだね」
    「カットリスのえっち」
    「そんなこというなら、まず外で三点倒立をするな」
    「みんなやらないのかあ」
    「だいたいの人は何時間も三点倒立できないんだよ……自分の身体能力が異様に高いことを自覚しな」
    「そこそこだと思うんだけど……」
     天然なのかアホなのかどっちなんだ、と言いたい気持ちを残りのコーヒーとともに腹の中に流し込み、カットリスは話題を変える。
    「何を悩んでいたんだい」
    「そろそろ原初世界に戻ろうかと思ってさ」
     ついにこの時が来たか。職人としても一流な彼女には、できれば長くいて欲しかったのだが。
    「そうか……戻っても元気でやりなよ」
    「や、長くても一週間くらいで帰ってくるけど」
     戻るってそういう意味かよ、と思いつつカットリスは内心安心する。職人としていて欲しいのもあるが、なんだかんだ世話を焼きすぎた。彼女がいないと寂しくなる。
    「ご両親もいるだろう会いにいくのかい」
    「やつらは良いですほっときましょう」
     フィーネが冒険者になったのは半分家出らしい。特に父親と殴り合いの末に出てきたとか。このやけに腕っぷしの強い娘に殴られた父親が心配で仕方ない。角はへし折ってきたそうだ。
    「フェオには相談したのかい」
    「一緒に行くよ」
     もし黙ってフィーネが原初世界に行ったらまた怒るだろう。
    「今度はグリダニアに行って、イシュガルドにも寄ろうかなあって思ってる」
    「森の都と、雪に閉ざされた都だったか。一度で良いから行ってみたいものだね……どんな工芸品があるのかな」
    「お土産に持ってくるよ〜素材とかも持ってくるね」
    「お、頼んだよ」
     まだ見ぬ素材、ノルヴラントにはない気候や文化に合わせて発達した技術もあるはずだ。そんな想像がカットリスの好奇心を刺激していく。
    「あとは暁のみんなに手紙を書いて置いてこようと思ったんだけど、そこが悩んでて……」
     それで三点倒立をしていた……ということだ。三点倒立の必要性はわからない。
    「一緒に書いてよ〜」
    「自分の書きたいことを書けば良いだろあんたみたいなやつはふらっと死んでそうだから、元気だってことと、昨日の夕飯の話でも書いておきな」
     フィーネが不満そうな顔になる。
    「死なないよ……あ、リーンの手紙はみんなに届けてねって預かったから渡さないとな」
     ぶつぶつ言いながら、フィーネはゆっくりとペンを走らせ始める。
    「昨日はレイルのグリルで……米がないから欲しい……」
     本当に夕飯のことを書いているようだ。そして食材を要求しているようである。
     先ほどよりも空が明るくなったが、他の職人が来るまではまだ時間がある。
     カットリスはコーヒーを淹れ直し、ついでに苦労しながら手紙を書いているフィーネの分も机に置く。ひと口飲んで「これ美味しい」と言い、再びペンを取る彼女を見守りながら、カップからの香りを楽しんだ。

    ーある「元」光の戦士の6.02 Fineー
    次回からは、ある「元」光の戦士の6.03が始まります。

    〜おまけ 読まなくて良い作者の後書き的な何か〜
     ある「元」光の戦士シリーズはひとまず14話ひとくぎりで続けていこうかなと思っています。14だから……それ以上の意味はないです……。
     もうすぐ6.2がリリースされるぞという時期(2022/08/12)にタイトルが「6.02」で次「6.03」なのはどんどん最新パッチとずれていくので失敗したかなあという気がしますが、「6.1」にすると新たなる冒険はどうした、となるのでまあ良いかなーと。
     ネタのストックはなぜか増える一方なのでまたのんびり更新していきます。読んでくださるみなさまに感謝。
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    FineRisoluto

    DONE・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。
    ある「元」光の戦士の6.03その9「なぜクラフターをやるんだ、という人がいる」
     フィーネは斧を振り下ろす。脇には既に伐採を終えたパイン原木が山になっていた。
    「ええ」
     フェオはその山の上に腰掛けて両手で頬杖をついている。
    「なぜギャザるのかと問う人もいる」
    「そうなのね」
     静寂の中をアオサギ滝の水が流れ落ちる音が心地良い。二人はヤンサを訪れていた。
    「でもクラフターもギャザラーも目的のためにするわけじゃないんだ」
     木に斧が打ち込まれる音がリズミカルに静寂を切り裂いていく。
    「お仕事だからするんだと思っていたのだわ」
    「順番が逆なんだよ。クラフターもギャザラーも仕事ではあると思う。だけどそうじゃない。仕事だからするんじゃあないんだ。やりたいことをして、楽しくなって続けているうちにそれが仕事になっていくのが一番良いんだ」
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    FineRisoluto

    DONE・FF14の6.0までのネタバレを含む可能性があるのでご注意ください。
    ・FF14自機のフィーネの6.0の後日談です。
     大きな山場もなく、ただ平和な冒険の後日談が好きな人向け。

    ・フィーネ=リゾルート
    「元」光の戦士。アウラ・ゼラの女性。クリスタリウム中心にノルヴラントに引きこもっている。ミーン工芸館で職人として働いている。
    ある「元」光の戦士の6.03その8「お前ら、会うたびに喧嘩するのなんとかならねえのかい?」
     フィーネの母の腕にできた傷の手当てをしながら、父親がため息をつく。
    「ため息のつき方が若木にそっくりなのだわ……!」
     フィーネに出された緑茶をすすっていたフェオが感激するその横で、フィーネもまたため息をつく。
    「似てないよ」
    「ほら、今、そっくりだったのだわ!」
     フェオは喜び、フィーネと父の間を飛び回る。
    「それにしてもお前、風の噂じゃあ聞いていたが腕が立つようになったんだなあ」
     父親の感嘆をよそに娘は淡々と答える。
    「母さんより腕っぷしが強い人のほうが少なかったよ?あ、でもアジムステップはもっと喧嘩っ早い人がいたなあ」
    「いやあ、それでも母さんに喧嘩で勝てるようになったなんてなあ。父さんなんだか涙腺にきたよ」
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