妄想⚠今日、最近毎日のように実験を手伝ってくれている被験者と共にこたつを取り出した。
被験者と別れた後、私が皺だらけにしてグシャリとなった紙達は掌の中で悲しいとでも言いたげにこちらを見つめていた。
私はそれをソッと広げて、再び内容に目を通した。上の方を見ると、私の字で大きくこう書かれていた。
「死んだ人間の生き返らせ方について」
…ふ、
思わず乾いた笑いが零れる。
あの頃は本当に、良くも悪くも純粋だった。
これは不慮の事故で亡くなった恩師ともう一度語らいたくて、始めた研究だ。
研究を進めるには人手がいるからだとか、知識をもっと借りたかったからだとか、あの頃はそういうの抜きで単純に…近しい人間が離れていった事実を認めたくなかった。
ただまぁ…今はっきり言えることといえば。
…死んだ人間が生き返る事はないという事だろうか。
なんてボーッと考えていると、ふと胸元に小さく鋭い痛みが走る。
胸ポケットの方を見やると嫌そうな表情で紙を睨みつけるまめねこが、私にそれを伝えようと必死になっていた。
「…そうですね、今の私達には必要のない書類だ。」
そうまめねこに言い聞かせるように呟いた後、もう一度紙をぐしゃぐしゃに丸めて、今度こそゴミ箱へと葬り去る。
「それじゃ、研究の続きでもしましょうか。…まめねこ、見ててくれますか?」
コクコクと頷くまめねこは何だか少し嬉しげだ。
今日も、私達の日常は変わらず移り変わっていく。