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    PROGRESS晏沈の転生もの8話目です。

    夜の帝王の記憶なし晏無師×記憶あり沈嶠で、晏無師の記憶を戻そうと沈嶠ががんばる話です🌃

    今回は闘魚とすれ違い編です。
    転生晏沈 8 胸がざわつく。
     妙な夢を見た後、晏無師は眠ることができなかった。目を閉じる度に沈嶠の顔が瞼にちらついて仕方がない。昨夜桑景行に売り飛ばした沈嶠は、今頃奴に抱かれているのだろうか。晏無師の頭の中に、夢の中で見た乱れた沈嶠の顔が浮かぶ。あの表情を桑景行が見ているのかと思うと腹の中が煮えるような感覚に襲われる。

     不可解な感情を持て余した晏無師は苛立ち、必然としばらく吸っていなかった煙草に手を伸ばす。沈嶠がいない今、止める者もいない。摘み上げた煙草を肺一杯に深く吸い込み、余計なことを考えないよう身体中を煙で満たそうとする。しかし焦燥はおさまらない。小さく燻るような赤い火が灯る煙草の先端。灰皿の上には吸殻が積もり、時間だけが過ぎていった。晏無師は長い指で灰を弾き、艶のある髪を気だるく掻き上げる。窓の外はすっかり明るくなっていたが、まだちらちらと雪が舞っていた。風に翻弄され、熱が加えられれば儚く溶けてしまう雪。また沈嶠の顔が浮かびそうになり晏無師は煙草を揉み消した。
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    PROGRESS晏沈の転生もの6話目です。

    夜の帝王の記憶なし晏無師×記憶あり沈嶠で、晏無師の記憶を戻そうと沈嶠ががんばる話です🌃
    今回はホスト編とワクワク同居編のラストです。そこそこ手を出されます。R15くらい。
    転生晏沈 6 晏無師と沈嶠が同居を始めてから三週間。沈嶠は相変わらず夜はホストとして働き、昼は晏無師の世話をするという生活を続けていたが、それは意外にも穏やかで楽しい日々だった。二人の同居は『怪我が治るまで』という理由で晏無師が言い出したものだったので、怪我が治ったら追い出されるのだろうと沈嶠は思っていた。しかし晏無師は『まだ治っていない』『傷が開いた』などと言っては、なかなか沈嶠を手放そうとしない。
     最近の晏無師は出会った当初の冷たい印象とは違い、沈嶠のことをそれほど警戒していない様子だった。沈嶠を揶揄っては面白がり、笑顔を見せたりもする。少しずつだが心を開いてくれている、と沈嶠は感じていた。晏無師を変えることなどできないと思っていたが、晏無師は沈嶠の望み通りあれ以来煙草も吸わなくなった。二人の関係はいい方向に進んでいる。このまま一緒にいたらそのうち記憶が戻るかもしれない。いや、もし戻らなくともこの晏無師と生涯を共にすることができるかもしれない。楽観的かもしれないが、沈嶠はそう思い始めていた。
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    PROGRESS晏沈の転生もの4話目です。

    夜の帝王の記憶なし晏無師×記憶あり沈嶠で、晏無師の記憶を戻そうと沈嶠ががんばる話です🌃
    今回はワクワク同居編です。R15くらい
    転生晏沈 4 タクシーが止まったのは歓楽街から十分ほどの所にあるタワーマンション前だった。晏無師は眠ってしまった沈嶠を起こし、タクシーを降りる。高級ホテルのような豪奢なエントランスを通り、二人を乗せたエレベーターが止まったのは最上階。広い玄関で靴を脱ぎ、廊下を通り抜ければモデルルームのように整った内装のリビングが広がる。大きな窓の向こうにはバルコニー、そして夜景が続いている。 

     沈嶠はぼんやりとした頭のまま晏無師の後ろで部屋を見回していた。リビングには高価そうな絵や置物が飾られている。しかし沈嶠の目を引いたのは壁に設置された水槽だった。大きな水槽が一つ、そして少し離れたところに小型の水槽が二つ。沈嶠は物珍しそうに水槽に近寄り、中の魚を観察した。大きな水槽では色とりどりの熱帯魚が泳いでいる。次に小さな水槽に目を移す。二つの水槽の中には美しい白と黒の魚が一匹ずつ、長いヒレを揺らめかせて泳いでいる。そして不思議なことにその二つの小さな水槽の間には薄い板が置かれ、魚同士は互いが見えないようになっていた。
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    DONE現代AU晏沈のちょこれーとぷれいです
    苺とチョコレート ハンガーにコートを掛け、手を洗い、買ってきた物を仕分けて片付ける。あとは、革靴にブラシをかけて、浴槽にお湯を張って、……と、帰宅早々沈嶠がきびきびと動いている間、一緒に帰って来た晏無師は真っ直ぐにキッチンへ向かっていた。きっと食品を冷蔵庫に入れているのだろう、と沈嶠は特に気にかけていなかったが、一通り片付けを終わらせた沈嶠がキッチンに向かうと甘い香りが漂ってくる。夕飯は食べて来たのに、と沈嶠はキッチンを覗き込んだ。

    「何を作っているんです?」
    「さっきのホテルのチョコレートソースは甘すぎたからな。私好みの味にブレンドしている」

     尋ねてきた沈嶠に、晏無師は楽し気に返事をした。どうやら今日食べたチョコレートフォンデュを早速自分で作り始めたようだ。こだわりが強い晏無師らしい、と沈嶠は苦笑する。それなら私はお茶でも淹れよう、と沈嶠は茶葉の入った缶をいそいそと取り出し、電気ケトルの電源を入れた。お湯が沸くまでの間、晏無師の作業を隣で見守ることにする。調理台の上はいつの間に買ったのか様々な種類のチョコレートが所狭しと並び、小鍋の中ではこっくりとした色のソースが混ぜられていた。キッチンには芳醇なカカオの香りが充満し、口の中に唾液が湧く。
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