苺とチョコレート ハンガーにコートを掛け、手を洗い、買ってきた物を仕分けて片付ける。あとは、革靴にブラシをかけて、浴槽にお湯を張って、……と、帰宅早々沈嶠がきびきびと動いている間、一緒に帰って来た晏無師は真っ直ぐにキッチンへ向かっていた。きっと食品を冷蔵庫に入れているのだろう、と沈嶠は特に気にかけていなかったが、一通り片付けを終わらせた沈嶠がキッチンに向かうと甘い香りが漂ってくる。夕飯は食べて来たのに、と沈嶠はキッチンを覗き込んだ。
「何を作っているんです?」
「さっきのホテルのチョコレートソースは甘すぎたからな。私好みの味にブレンドしている」
尋ねてきた沈嶠に、晏無師は楽し気に返事をした。どうやら今日食べたチョコレートフォンデュを早速自分で作り始めたようだ。こだわりが強い晏無師らしい、と沈嶠は苦笑する。それなら私はお茶でも淹れよう、と沈嶠は茶葉の入った缶をいそいそと取り出し、電気ケトルの電源を入れた。お湯が沸くまでの間、晏無師の作業を隣で見守ることにする。調理台の上はいつの間に買ったのか様々な種類のチョコレートが所狭しと並び、小鍋の中ではこっくりとした色のソースが混ぜられていた。キッチンには芳醇なカカオの香りが充満し、口の中に唾液が湧く。
「いい香りですね」
興味深げに小鍋を覗いている沈嶠を見て、晏無師は目を細めた。
「お前は甘い物が好きだからな。さて、もう混ざったし味見をしたいんだが……おっと、これは困った! ソースをつける材料がない」
「……」
晏無師は肩をすくめ意味深な流し目を向けてくる。芝居がかった晏無師の口調に沈嶠はいぶかしげな視線を返した。こんなに大量のチョコレートを買い込み、溶かすところまで終わってから、肝心の具材を忘れただなんてあり得ない。
「いや、ここにあるか」
晏無師は、警戒している沈嶠の顎を掴んでクイ、と上を向かせる。
「お前の唇に塗って食べたらさぞかし美味いだろうな」
「……」
くつくつと笑う晏無師の手を無言で外し、沈嶠はスンとした顔で一歩離れ、戸棚を開けた。全く、いつもながら何を言っているんだか。晏無師の揶揄いにはもう慣れているので、いちいち顔を赤くしてもいられない。ティーカップを二客出し、お茶のセットをトレイに乗せ、そのままキッチンから出て行こうとする沈嶠を晏無師は呼び止めた。
「待て待て、冗談だ。お前が先に味見してみるか?」
ほら、と晏無師はソースを掬ったスプーンを沈嶠に差し出す。とろりと滑らかなチョコレートから甘く濃厚な香りが漂う。スプーンの下から雫が滴りそうで、ごくりと沈嶠の喉が鳴った。床に垂れても困るし、味見ならばまあやぶさかではない。そう思った沈嶠はトレイを置いてまた晏無師に近づいた。晏無師の顔をチラリと見てから素直に口を開ければ、唇にゆっくりとスプーンが運ばれてくる。しかしスプーンは開いた口の中ではなく唇につけられた。ベタベタとソースを塗られて、沈嶠は慌てて顔を引く。
「ちょっと!」
「ははは、手が滑った」
「もう……」
子供ような悪戯に呆れつつ、沈嶠はチョコレートをつけられた自分の唇を舌先で舐める。とろりと蕩けたチョコレートは温かくて、甘い。
「美味いか?」
「……美味しいです」
素直にそう答えた沈嶠の顔を見て晏無師も満足そうな顔をする。唇に塗りつけられたのは不満だが、確かにとても美味しかった。沈嶠は甘い物が好きだが、甘すぎる物は好きではない。しかし晏無師はすべて沈嶠の好みに作ってくれる。
「どうだ? お前好みの味だろう? ほら、もう一口」
また悪戯をされる可能性も考えながら沈嶠がおそるおそる口を開けると、今度はちゃんと口の中に入れてもらえた。うん、やっぱり美味しい。……でも、晏無師がただ味見をさせるためだけにこんなことをしているとは思えない。具材もないのに家に帰って来た早々晏無師がチョコレートソースを作り始めたのはなぜだろう。きっと何か理由があるはずだ。
舌の上で柔らかく解ける甘味を味わいながら沈嶠は昼間の出来事を思い返す。
今日は休日だったので、晏無師と沈嶠は朝から出かけていた。お気に入りのイタリアンレストランでブランチを食べ、服を買いたいと言う晏無師に付き合って買い物へ。その後はバレンタインデーだから、という晏無師の提案でホテルのチョコレートアフターヌーンティーに連れていかれた。思いつきかと思えば、さりげなく個室を予約してくれているところがぬかりない。
テーブルの上に並ぶキラキラとした華やかなチョコレート菓子達に沈嶠は目を輝かせた。目移りしてしまう中で、沈嶠はまずはチョコレートフォンデュに手を伸ばす。真っ赤に熟した苺にたっぷりのチョコレートソースをつけて口に運べば、じゅわりと口の中に広がる甘さと爽やかな酸味。うっとりと目を閉じている沈嶠に晏無師は言った。
「阿嶠、気に入ったのか? このくらいなら家でも簡単にできるぞ。溶かしたチョコレートを好きなものにつけるだけだからな」
「そうなんですか?」
マシュマロに手をのばしながら沈嶠が返事をする。ワクワクした様子の沈嶠を、晏無師は口の端を上げながら見守った。
「ああ、そうだ。阿嶠、私がチョコレートをつけて食べたい物は何だと思う?」
「さあ、何でしょう。季節の果物でしょうか」
「いや、違う。食べてしまいたいほど愛しい物、と言ってもいい。私の大好物は知っているだろう?」
満足げにマシュマロを頬張った沈嶠の口がぴたりと止まった。その台詞には何だか聞き覚えがある。そう、それは昨夜のことだ。月明かりだけの寝室で、沈嶠は激しく身体を揺さぶられていた。朦朧とした意識の中、首筋を噛みながら晏無師が言った台詞は何だったか……沈嶠の頭の中に吐息混じりの甘い声が蘇ってくる。
『ああ……阿嶠、阿嶠……愛している……お前を食べてしまいたいほどに』
その瞬間、沈嶠の顔にぶわっと熱がのぼった。一度意識してしまうと、晏無師に噛まれた場所がチリチリと熱くなってきて、思わずフォークを置いて首元を押さえる。晏無師が食べてしまいたいほど愛しい物、というのは……? 顔を上げ、視線を合わせると晏無師の目と口が三日月のような弧を描いている。
「チョコレートを大量に買って帰る必要があるな」
「……何を企んでいるんですか?」
動揺していることに気付かれまいと沈嶠は晏無師を軽く睨みつける。
「さあな」
沈嶠の問いには答えず晏無師はニヤニヤと笑い、コーヒーカップを口に運んだ。
数時間前の会話を思い出し、沈嶠の顔はじわじわと火照り始める。その後、晏無師は店を出ても何も言わなかったので、ただの冗談だと思ってすっかり忘れていたのだ。しかし、もしかしたらあれは冗談ではなかったのかもしれない。そうだ、どう考えてもおかしい。具材もないのにソースだけ作っているというのも、チョコレートソースだけ味見させられている今の状況も。沈嶠はごくりと喉を鳴らした。
沈嶠にとって晏無師は初めての恋人だ。紆余曲折を経てこのような関係になったのだが、沈嶠はそれまで恋愛をしたこともなければ、誰かと夜を共にすることも初めてだった。したがって性的なことに関する知識は乏しいのだが、だからといって知識として全く知らないという訳ではない。世の中の恋人同士は色々な手法で愛を確かめ合うというのは聞いたことがある。晏無師はこのチョコレートをどうするつもりなのか……想像すると心拍数が上がっていく。自分の身体を這う晏無師の熱い舌の感触を思い出してゾクリとする。口の中でほどけたチョコレートが喉に貼りつく。身体が熱い。自分の身体がだんだんとチョコレート味になっていくような気がして、沈嶠は自分のセーターの胸元を握った。
「阿嶠?」
「えっ、あっ……?」
動揺している沈嶠の眼前に、晏無師の整った顔が迫る。間違いない、晏無師はチョコレート味になった自分を食べるつもりなのだ。だからこうしてチョコレートを溶かして、私に食べさせたのだ。晏無師の唇が薄く開いた。あと一歩近づけば互いの唇が触れる。どくどくと心臓が高鳴る。条件反射で逃げたくなる脚を沈嶠はぐっと踏ん張った。別に付き合っているのだから口づけを拒む理由などない。今日は朝から楽しい時間を過ごしたし、正直口づけしたい、という気持ちがない訳でもない。人目があるからと外では手を触れることもなかったが、今は二人きりだ。少し恥ずかしいけれど、チョコレートの御礼もしなければ。
沈嶠が覚悟を決めてギュッと目を閉じ唇を突き出した瞬間、晏無師がクスリと笑った。
「何をしているんだ、阿嶠。口の周りについているぞ」
沈嶠がおそるおそる片目を開けると、晏無師の親指が沈嶠の唇の端を拭った。そのまま口元に持っていった親指を舌先でゆっくりと舐めとる。
「ふむ……もう少し苦みがあってもいいか?」
晏無師は口内でチョコレートを味わいつつ、沈嶠から身体を離した。そしてダークチョコレートの板に手を伸ばし、細かく刻み始める。沈嶠はしばらくぼんやりとその様子を見つめた。晏無師はどうやら本気で味の調整をしているらしい。口づけをすると思っていたのは私だけ……? 晏無師は呆然と立っている沈嶠を面白そうに横目で見た。
「どうした? そんな顔をして。もっと欲しいのか?」
沈嶠はハッとして自分の口の周りを手の甲でごしごしと擦った。恥ずかしさにじわじわと頬が熱い。口づけを期待し、肩透かしを食らってがっかりしているところまで全部気付かれているのだろう。きっと今自分は物欲しそうな顔をしている。そうと思うと恥ずかしさにどんどんと身体が熱くなっていく。
晏無師はそんな沈嶠の口元にずい、とチョコレートのかけらを差し出し、挑発するように眉を上げた。
「いらないのか?」
「いっ……いります!」
沈嶠は被せるように返事をして、晏無師の指に触れないようチョコレートの端を歯で齧った。恥ずかしさを誤魔化すつもりで挑発に乗ったが、予想外の強い苦みが口の中に広がり、沈嶠は眉を顰める。
「……とても苦いです」
「そうだろうな。こっちは甘いぞ」
次に別の種類のチョコレートを差し出され、沈嶠はまた口に入れてもらえると思って素直に口を開けた。早く舌に残った苦みを消す甘みが欲しい。しかし、晏無師は沈嶠の唇に当たる直前でそのかけらを素早く自分の口に入れる。もぐもぐと口を動かしごくんと喉を鳴らしてから、あんぐりと口を開けたままの沈嶠をニタニタと見下ろす。
「いや、これはお前には甘すぎるかもしれんな」
そしてまたひょいとつまんだかけらを自分の口に放りこむ。沈嶠はムッとして眉を顰めた。
「意地悪ですよ。口の中が苦いので早く下さい!」
「欲しいのか?」
「はい!」
晏無師はニヤつきながら再度沈嶠の目の前にチョコレートのかけらを差し出す。さっきは唇が指に触れないようにしたが、きっと自分は試されているのだろう。もしくはまた意地悪をして取り上げられてしまうかもしれない。そう思った沈嶠は、今度は晏無師の指に勢いよく食いついた。沈嶠の反応が意外だったのか、晏無師は少し眉を上げる。沈嶠は晏無師の顔を上目遣いで見ながら人差し指を口に咥え、整えられた爪の曲線に反って爪と肉の間に舌を這わせた。ちゅくちゅくと赤子のように指先を吸ってから再度口を開け、ぱくっと根元まで咥え込む。飴を舐めるように舌を動かし、舐め上げては舌で扱く。晏無師の手を両手で掴み、沈嶠は熱心に舌で指を愛撫した。柔らかな舌が指全体を包み、手の甲に温かい息がかかる。美しい唇の隙間に自分の指が出し入れされているのを見て、晏無師はほう、とため息をついた。子猫がミルクを飲むような水音が鼓膜を揺らす。開いた唇から濡れた赤い舌が淫らに覗く。
「そんないやらしい舌遣い、どこで覚えた?」
ちゅぱっと音を立てて指を離すと沈嶠は晏無師を睨みつけた。
「あなた以外にいないでしょう」
睨んでいる沈嶠を愛おし気に見つめた後、晏無師は今度は自分の唇にチョコレートを挟み沈嶠の口元に運んだ。唇で取れ、というつもりらしいが、面白がっているのは目を見ればわかる。恥ずかしがり屋のお前がこれも出来るか? とでも言いたいのだろう。
その目を見ているとだんだんと憎たらしくなってきて、沈嶠は晏無師の首を引き寄せると自分から唇を押し付け、チョコレートを奪い取った。唇を離して、噛み砕いて飲み込むと、沈嶠は鼻息も荒くどうだ、とばかりの視線を向ける。大胆に指を舐めたおかげで、もはやなんでもできるような気がしていた。やられてばかりではいられない。
「このチョコレートは甘いですね!」
照れ隠しなのか、怒ったような顔でそう言う沈嶠に晏無師は吹き出した。全く、本当に可愛くて可愛くて仕方がない。そんなことをされるとますます苛めたくなる。
「もっと要るか?」
「もっと下さい!」
晏無師はくつくつと喉を鳴らす。
「もちろん。好きなだけやろう。お前が満足するまでな」
晏無師はチョコレートをひとかけら自分の唇に挟むと、沈嶠の腰を抱き寄せた。え、と思っている間もなく晏無師は沈嶠の顔にズイ、と顔を近づけ、唇の隙間にチョコレートの先端を押し込む。晏無師の唇が沈嶠の唇を覆う。柔い感触を味わう間もなく甘味とともに舌が侵入してくる。
「ん、……ん、うぅ……っ、」
強く腰を抱かれ身動きが取れない。侵入してきた舌が絡み付き、互いの舌の熱でチョコレートがとろける。呼吸をしようとすると強いカカオの香りが鼻からぬけて、その香りに酔ったように頭がクラクラする。
晏無師の舌は、甘くて、苦くて、甘い。
沈嶠は目を瞑り、夢中になって舌を絡めた。頭の中がぼんやりとして、脚の力が抜けていく。とろけるような快感と幸福感に、倒れてしまわないよう晏無師の肩をぎゅっと掴んだ。
「は、……っ……あ」
口内のチョコレートはもうすっかり溶けてしまった。しかし晏無師は沈嶠の口腔内を探し回るかのようにじっくりとまさぐった。口蓋をくすぐると腕の中の腰が震え、息継ぎをする度甘い香りと吐息が漏れる。口蓋にある敏感なひだを一つずつ数えるように舌先でなぞられ、沈嶠の唇の端から唾液が溢れる。強く目を閉じたままの沈嶠に対し、晏無師はうっすらと目を開けて沈嶠の反応を楽しんでいた。怜悧な瞳を光らせて沈嶠の様子を見ながら更に唇を深く重ねる。激しく舌を吸われ、沈嶠の目尻には涙が浮かぶ。
「んっ……んっ……」
頬を上気させ、ぴくぴくと睫毛を震わせている沈嶠が愛らしい。晏無師の背筋に興奮が駆け上がってくる。必死でついてこようとする雛鳥を見ると、置き去りにして途方に暮れた泣き顔を見たくなるのが晏無師だ。晏無師は片腕で強く抱き寄せたまま、もう片方の手で沈嶠のズボンからシャツを引き出した。
「んぅ……っ!?」
身体を捩って抵抗しようとする沈嶠のシャツと肌の隙間に、晏無師の手が潜り込んで来る。大きく温かな手のひらに脇腹を撫でられ、沈嶠の肌が粟立った。晏無師の手はチョコレートを溶かすように沈嶠の肌をゆっくりと愛撫する。その間も唇を擦り合わせ、じっとりと舌を絡める動きは止まらない。
やがて胸にある小さな突起にたどり着いた指先が、優しくそこを弾き始めた。口を塞がれたまま敏感な部分を刺激され、沈嶠の膝がガクガクと揺れる。弄られてすぐにぷつんと尖ったそこを軽く摘まんで扱かれ、沈嶠の腰が逃げるように反る。疼いている下半身には気付かれたくなかった。しかし晏無師は逃がすまいと更に強く腰を抱き寄せた。興奮している互いの熱を布越しに感じる。硬くなっていく尖り、酸素が回らない頭。焦燥感が募り、同時に興奮が身体を衝き上げてくる。腹の奥から快感がのぼってくる。
「ッッ、んっーーーーーーーー!!」
晏無師の腕の中の腰がびくびくっと跳ねた。ようやく唇が離れるころには沈嶠の目はとろとろと潤み、目元はすっかり赤みを帯びていた。沈嶠の瞳に浮かぶたっぷりの欲情の色を見て、晏無師は舌なめずりをする。唇には甘やかな痺れが残っていたが、まだ全然足りない。腰を擦り付ければ互いの興奮が伝わり、短い呼吸を繰り返す半開きになった唇からは濡れた舌が覗く。
「阿嶠、もっと味見するか? それともされたいか?」
晏無師は甘い甘い誘惑の言葉を沈嶠の耳に押し込める。
「味、見……じゃなくて……」
はあっと大きく吐息を漏らした沈嶠は反っていた上体を戻すと酔ったように晏無師の肩に額を擦り付けた。立っているのも辛そうに晏無師にしがみ付くその呼吸は荒く、耳の縁まで赤い。瑞々しい苺を手に入れたような気分で晏無師は悪魔のような美しい笑みを浮かべた。
「そうだな。もう味見だけでは足りない。続きは向こうでするか?」
晏無師は小さく頷いた沈嶠の額に口づける。甘味と言うのは不思議だ。もう十分に食べたはずなのにもっと欲しくなる。沈嶠を促しキッチンを出る前に晏無師はチラリと横目で鍋を見た。せっかく溶かしたが、とろりととろけた濃密な液体はすぐに冷えて固まってしまうだろう。晏無師は小鍋を掴んだ。
「阿嶠、この鍋を持っていっていいか?」
「何をする気ですか……」
「決まっているだろう、お前に塗」
「駄目です」
意外にもまだ冷静さが残る沈嶠の言葉に、晏無師は少し残念そうに小鍋を置いた。まあ、いい。本当はチョコレートソースをつけるためのバゲットもマシュマロも果物も買っているから、明日の朝起きたらまた溶かして食べさせてやろう。今はまずその前に食べなければいけないものがある。
晏無師はチョコレートの香りがする熟れて赤くなった苺のような恋人を両腕に抱き上げた。そのまま白いシーツが敷かれた寝室へと向かう。
罠と知っていながら飛び込みチョコレートに溺れた苺を、白い皿の上で美味しく食べるために。
~完~