DAYSきみがいる うつくしくも はかない せかい。
【DAYS】
ふわふわと心地よい夢のなか。ゆらりと揺らめく水面から、真っ直ぐ天空へと指先を伸ばす。浮かんでいるのは、ぬるい温度のだだっぴろいどこか。ここがどこかだなんて疑問にも思わぬままで、広く心地よい世界にひとりで浮かぶ。
ああ、夢だな、と思った。働かない頭で、自分が独りでいることの違和感だけが暗い靄のように伸ばした指先を重たくさせた。
休む間もないほど騒々しい世界は遙か彼方で、この世界にはなんの音も匂いも有りはしない。天空には白い陽が君臨しているのだから、あれらは表へ出てこれないのだろう。
あれが居ないのなら、やはりここは現実ではない。強く確信を抱いて、水面から空へと伸ばした指をぎゅっと握り込んだ。
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