観用少年との戀2 煉獄家に《ドール》である炭治郎がやって来てから、初めての七月。そう、梅雨明けを迎える時期となった。
最初は、十歳にも満たない姿であったが、杏寿郎の誕生日に彼は自ら大きくなることを選び、十五歳ぐらいの姿になったのだが……ここで《ドール》としての不具合が生じたために、彼を購入するきっかけといった《蝶屋敷》へ急ぎ赴くことに。
「あらあらまあ。これは、予想外のことになってしまいましたね? 炭治郎君」
《蝶屋敷》への最初の里帰りは、なかなか衝撃的なものだと店主である胡蝶しのぶは、にこにこと微笑んだままでいた。しかし、その笑顔の裏側には静かな怒りの感情が隠されているではないか。
その怒りの感情を直ぐ様読み取った炭治郎は、ゾクリとしたものを感じていた。一方、杏寿郎は、そんなことも知らずに「すまんな!」といつもの大声を発し、ぺこりと頭を下げた状態だ。
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