教師御影小次郎 なんで俺は気付いてやれなかったのか
そんだけ浮かれてるってことか
いい年して情けねぇったらありゃしねぇな
新緑が深まり、暖かい風の匂いが真新しい春の季節の終わりと、次のシーズンの訪れの予感を告げる。
生き物にも植物たちにも優しい、この季節が一年で一番好きだ。
誕生日が嬉しい年なんかじゃねぇけど、
もうすぐ俺の誕生日で、
直前の日曜日を彼女と一緒に過ごしたかった。
二人が置かれている立場を考えれば、現状、関係性のステップアップなど望むべくもない、それでも……。
例えば、俺が彼女を下の名前で、呼んでみたらどんな反応をするだろうか。
モーリィに似たうるうるの黒目を大きくして驚くだろうか。
嫌がるだろうか。
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