じりじりと焼け付くような日差しが肌を刺す。気温は依然高いままだが、八月も終わりを迎えようとして秋はもうすぐそこまで来ている。寒さが苦手なオスカーはこれから下がり始めるであろう気温にひっそりとため息をついた。
しかし、今は気温よりも大事なことがある。
当たり前のことだが、八月が終われば九月になる。九月には、それこそ寒さなど些事と言えるほど大切な日があるのだ。
「おーい、何してんだよオスカー」
パトロール中、つい目を向けていたショーウィンドウから燃えるような赤い髪の青年に視線を戻す。
「いや……なんでもない」
「なんでもないってこたねーだろ。ボーッとして何見てたんだ?」
赤い髪の青年──アキラは先ほどまでオスカーが見ていた店のショーウィンドウを覗き込む。レッドサウスには珍しいシックな佇まいの店のショーウィンドウには、男性もののハンカチやタイピン、ネクタイなどが並んでいた。
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