空明の聲何時だったかアイツが零した言葉を反芻する。
月の雑踏を経て、天空を見上げたあの時以来訪れた平和こそが、どうしてか未だに実感が持てず私自身が生み出した夢幻のようだとも。常に頭上に降る満点の星々さえも砕け散った記憶共ではないのかと。
そういったことを、どうしてかカイトへと吐露した際には、笑われた。
『案外、お前もロマンチストだな』
「……通信切るぞ」
『馬鹿か? ミザエルがかけてきた癖に本題も言わず、深夜にはた迷惑な奴だな』
「ええい、やかましい!!!」
ヌメロンコードの力のおかげで我々は、またこの世界の地を踏みしめ奇しくも同じ生命を得た。ドン・サウザンドの戦いの時に私はそこまででも、悔いはなかった。何より心より…。心など、あの時は馬鹿らしくも思えていた。
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