外堀から埋めるトーマと俺は付き合ってはいるが、一緒に住んでいるわけではない。学部もバイト先も違うので、顔を合わせるのも毎日ではない。それでもトーマの存在を身近に感じることが増えてきた。
俺の家にあるトーマの私物は、ざっと見まわしただけでもかなりある。
着替に寝間着、食器類に歯ブラシ、ベッドに転がっているのは雰囲気が似てるからとゲーセンで取った犬のぬいぐるみ。冷蔵庫には大きめのジャム瓶に、ノンアルコール飲料と言う名のただのジュース、タッパーの中身はトーマが作り置きしていった常備菜だ。
俺には使いこなせない調味料やスパイスの小瓶も気がつけば増えていたし、フライパンも大きいのを先日追加した。
買い物に行けば「これトーマがこの前好きって言ってたな」とついついカゴに入れるし、美味しそうなデザートは一緒に食べたいからと同じものを二個買う。
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