高校時代の大会で奇跡的に再会したものの、楓の事を覚えていなかった日和。自分は日和の事を忘れた事なんてなかったのに、覚えていないばかりか郁弥の事ばかりで自分の事を全く気にしてくれない日和にショックを受ける楓。高校へ会いに行ったり大会で声をかけたりするも、思ったような反応が返ってこず徐々に苛立ちに変わっていく。どうしたら日和は自分の事を見てくれるのか。自分の事を見てほしい。ある日気持ちが抑えられず日和の事を強引に犯してしまう楓。日和は数日体調を崩して寝込む。郁弥は何をされたまでは知らないが、楓のせいで日和が体調を崩しているという事は知っている為、楓の事を良く思っていない。日和も到底許せないと思ってはいるものの、行為の中の楓の苦しそうで泣きそうな表情や、行為後の後悔して自分を責めているような楓の姿が忘れられず気になってしまっている。
この出来事の後から楓はフリーへ転向。「水泳を続けていればいつか日和にまた会えるかもしれない」「大会で結果を出せば日和の目に留まるかもしれない」と思って今まで努力していたのに、大切な思い出ごと日和を汚してしまい、これから水泳とどう向き合えばいいかわからなくなっていた楓。日和には嫌われてしまったが、忘れられたくない。嫌いでもいいから、自分を覚えていて欲しい。その想いと、今までの自分の為に、水泳で結果を出し続ける選択をした。その為に、自分への罰かのように、今まで以上に水泳以外の全てを捨てた。自分には一緒に泳いでくれるお兄ちゃんも、仲間も、何もなかったけれど、日和との思い出だけは大切に持っていた。それも自分で台無しにしてしまった。自分にはもう何もない。泳ぐことしかない。高い目標を掲げる必要があった。だから絶対王者アルベルトがいるフリーに転向し、王者を倒す事を目標とした。結果を出すことだけを考えて日々を過ごす。そして日本新記録に一番近い男と言われるまでになった。
日和はあの日から楓が変わったことに気づいていた。大会で会うと悪びれもせず話しかけてくる。しかし以前のような親しみなどは無く、やけに突っかかってくる。郁弥はその度に僕を守ろうとしてくれていて嬉しい。ただ、あんなことをして、それでも関わろうとしてくる楓が理解できず毎回困惑する。あの時感じた、後悔しているような楓の姿は気のせいだったのだろうか。あれから楓はめきめきと成績を伸ばした。大会の度に目にする楓の姿がやけに気になるようになった。七瀬君と泳いだあと、自分の視野が広がった気がする。そのせいか、今まで理解できないと思っていた楓の事を理解したいと思うようになった。
　　　　
　　　　　　というところでＦＳの清水寺に続いていたらいいな～という妄想です