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    Kameiyafwon

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    Kameiyafwon

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    るつかめ続き
    一話の部分までは校正してない状態で進捗BOTとしてあげます戒め

    ##るつかめ

    司くんの家には駆け足で向かうと、咲希くんが玄関で出迎えてくれた。あがってというお誘いには申し訳ないと答えるととても悲しそうな顔をして……いたたまれなくなったのか司くんが慌てて理由を述べると、じゃあこれを持っていってと小ぶりのピンクの可愛いバケツをくれた。
    なるほど、これなら落とす心配もなく運搬できる。気遣いが出来る優しい家庭だなぁ。天馬家のいいところをまたひとつ知ったや。
    先程の公園に戻ってくる頃には辺りは暗くなってしまい、ベンチ付近で灯る照明だけが周囲を照らしてくれている。
    心細い思いをさせてしまったかな。ダンボールを開けても、亀くんは一向に頭を出そうとしなかった。
    「ごめんよ」
    なるべく驚かさないように、そっと両手で持ち上げる。
    うんともすんとも動かないから不安になったが、バケツに入れたらもぞもぞと足だけ動いたので、なんとか生きているようだ。
    まだ亀くんも生きることを諦めていない用に見えて、
    なるべくストレスを与えないように、静かに、でも少しだけ歩みを早くして帰宅する。
    僕の両親は比較的放任主義なきらいがある。僕の部屋なら(騒音が程々の程度で収まる枠ならば)何をしてもいいといった具合。だから、僕は部屋で飼育することにした。
    小学生の頃教室で飼っていた亀を思い出しつつ、僕の部屋の流しでバケツに少しの水を入れて、庭で適当に拾った石を陸地としていくつか入れてあげる。
    このままでは冬眠してしまうだろうから、部屋をエアコンと電気ストーブで温め、電気ケトルに残っていたお湯をほんの少し混ぜてあげた。本当はカルキ抜きだとかもっと色々とするべきことはあるが、今日はもう夜遅く、明日は明日で朝が早い。最低限の住居の提供で精一杯だ。
    暫く亀くんの様子を見ていると、もぞもぞを首を出して陸地にゆったりと移動してくれた。どうやら寒くて動けなかったらしい。ひとまず安心。顔も僅かににこにこしているような感じがする。
    写真を撮ってメッセージで司くんに救助報告をすると、可愛いOKスタンプが送られてきた。
    『大丈夫だとは思うが、きちんと愛情こめて育ててやるんだぞ。あと実験や解剖もするなよ』
    「ふふ」
    信頼されているのかされていないのか。恐らくこの場合はされていないに該当する。
    『僕は恋人に随分信頼されていないみたいだね……よよよ』
    戯れでフェニーくんの泣いているスタンプも送信。するとおこおこというフェニーくんのスタンプと共に、
    『その反応だとしようとしていたな?』
    と返事が返ってきた。これは向こうも半分戯れに言っていたのだろう。
    何個か吹出しを量産しているうちに、明日バイト後にきちんとした飼育環境に足りないものを一緒に飼いにいくことになった。
    『おやすみ、いい夢を』
    『ああ、おやすみ。類も早く寝るんだぞ』
    普段からしているやりとりだけど、今日は特別可愛く見えてしまう。画面に小さくキスして、僕はソファーに寝転んだ。


    「じゃあ、オレたちはこのままショッピングモールに行くから。えむ、寧々!気を付けて帰るんだぞ!」
    「はぁーい!お疲れ様でした~!」
    「アンタは私の母親じゃないでしょ……」
    「誰が母親だ! スターだと言っているだろ!」
    「はいはい。じゃあまたね」
    本日晴天。絶好のショー日和。みんな最高のテンションでショーを終え、未だそのテンションを引き摺ったまま解散することになった。
    それに、僕はこれから司くんとデート。テンションが上がらないわけがない。
    「類、変なことしないでよ」
    寧々に釘を刺される程度には浮かれている顔だったらしい。改めて気を引き締めてから僕は荷物の入ったリュックサックを背負った。
    「さて、亀くんの住居探しにいこうか!」
    「ああ! 何が必要か調べたのか」
    「水槽とか餌の他にヒーターとかUVライトとかいるみたいだね。……あと、お掃除グッズがあると便利らしいよ」
    「類の口からお掃除って出ると違和感がすごいな……」
    「馬鹿にしているね? 生き物の世話は好きだし、手間隙は惜しまないよ」
    「ああ、そういえば緑化委員だったな」
    「そうだとも。残った根っこの掃除とか、間引きもするさ」
    「そのやる気を部屋にも出せ!」
    「それは別の話だね!」
    なんだか、いつもの何倍も楽しい。
    あの亀くんの世話代を半分担保すると言ったのは司くんからだった。飼う原因を作ったのはオレだ、と責任を感じているようで。
    そんなことはないし、亀の寿命は長いから負担になるよと伝えても、頑なに払うの一点張りだった。
    二人のお金で育つ亀くんって、なんだか僕と司くんの子どもみたいだなぁ。なんだかとってもロマンチックに聞こえる。
    さて、僕たちがやってきたのはいつもショッピングモール。ここの五階にはペットショップが入っている。
    「やっぱりライトとかは専門を買ってからカスタムした方が安全だからね。専門家に任せたほうがいいだろう?」
    「そうだな、動物のアイテムはよく個々に合わせたものではないといけないと聞くし」
    穂波がそう言って首輪を探していたことがあったなぁと司くんは呟きながらさくさくと爬虫類コーナーへ向かう。
    いつも思うのだけれど、司くんから出てくる男の子の話題って、青柳くんと東雲くんくらい。あとは大体咲希くんの幼馴染の女の子や、えむくん、寧々のことが、ほぼ大半で男子らしい話というものは聞いたことがない。男子高校生にありがちな下ネタ、というものも出てこないあたり潔癖気味の司くんらしいというか。
    キス程度しか恋人らしいことを出来ていない僕たちだけど、いつか先まで進めるのだろうか。
    「かぁめぇは……あ、ここかっ!」
    ぼうっとしていたら、いつの間にか亀の飼育コーナーに来ていた。餌の他に、陸地や飾りだろうか?瀬戸物などが置いてあり、コーナーとしては充実していた。
    「すご……こんなにあるのか」
    「想像以上で逆に引いてしまっている自分がいるよ」
    「引くなよ」
    「ごめんごめん。とりあえず、餌と水槽とヒーターがあれば、あとは家にあるもので何とかなるらしいから」
    「そうか、分かった」
    そこから僕たち二人はペットショップの片隅であーだこーだ言いながら、亀くんの住居グッズを揃えた。思った以上に司くんは予算管理能力は高く、取捨選択がはっきりしていて助かった。
    そういえば、司くんは主夫っぽいところがある。彼は咲希くんへのサプライズプレゼントも予算を決めてそこから案を聞いていた。
    「水槽、ヒーター、陸地にする石、餌……あ、隠れ家がないね」
    「うちに使わなくなった植木鉢があるぞ。四角い瀬戸物のなのだが、割れてて使い物にならん」
    「じゃあ、ちょっと予算が余るね……飾りと何か植物でも買おう」
    「アクアリウム、ということか?亀は草も食べるが平気か?」
    「この水槽、高さがあるからね。瀬戸物で登れないようにしてちょっと植えるくらいなら平気だと思うよ」
    「なるほど……まあお前に任せる」
    司くんはじゃあこれで仕舞だな、と籠を持った。
    いつも思うのだが、司くんは細身のわりに力持ちだな、と思う。一見、女子にも見間違う可愛い顔面と細身の身体だけど、体幹がしっかりしているからか重たいものも軽々と持ち上げる。
    「もう、僕が持つのに」
    「帰りに半分持ってもらうぞ」
    「りょーかい」
    それでも半分なのが何というか。趣味ややることは細かくて淑女のようなのに、こういうところはやっぱり男の子というか。見栄っ張りだよね。
    そういうところが可愛い。
    せめても、とお金を少し僕のほうで多く払った。
    「見栄っ張りだなお前」
    「そうだとも」
    好きな子、恋人の前だ。見栄を張りたくなるのは当たり前だろう。
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