渚のきょうだい(再録)「海、ですか」
ギルヨンは調書を打ち込む手を止めて、先輩でありバディのコ刑事を見つめ返した。差し入れの缶コーヒーは結露ですっかり濡れていた。外回りから帰ってきたコ刑事は滴る汗を拭いながら続ける。
「うちの車にはワイフと娘を載せて、着替えを積んだらパンパンだ。
パラソルやらバーベキューの道具は載せきれない。お前の車を出してくれ。知り合いを連れてきてもいいぞ。休みとっとけよ」
「…わかりました。ふたり、連れてきます」
***
網の上で肉と野菜がシュウシュウと白い煙をあげている。
「人の奢りで食う飯が一番うまいな」
ファピョンが牛肉を飲み込んでからしみじみとこぼした。
「食べた分ちゃんと働けよ。片付けは任せたからな」
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