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    すみっこ

    @nyanntyo

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    すみっこ

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    にゃん→ちょぎスタートのにゃんちょぎ。
    いずれハピエンに至る地獄の道中です(にゃんにとって)

    ※にゃんがちょっと病み気味
    ※描写はほぼないけどやることやってます
    ※描写はないけど嘔吐してます
    ※その他、地雷やキャラ崩壊に配慮してないので各自自衛をお願いします

    #にゃんちょぎ
    cats-eye

    片想いこじらせにゃんと、にゃんへの許容範囲ガバガバちょぎくん 好きだと気づいてしまった。
     雪のような白銀の髪も、海よりも空よりも深く鮮やかな色を宿す瞳も。
     その儚げな容姿に似合わぬ苛烈なこころも、折れることを知らないある意味で刀らしい矜持も、近しい者にだけ覗かせる面倒くさい甘えも。
     すべて、好きだと気づいてしまったら、もうこれまでと同じではいられなかった。

    「好きだ、……にゃ」

     随分と格好のつかない告白になった自覚はある。それもこれも猫の呪いのせいだ。
     いや、猫の呪いを抑えきれないほど、かつてなく緊張していたせいだ。

    「それは、俺と恋仲になりたいということ?」
    「にゃっ!? い、いやそれは、まあ……できたら……?」
    「なんだよ、はっきりしないな。どっちなんだ」
    「な、なりたいです! ……にゃ!」

     謎の圧の強さに押されて正直に答えれば、またも猫の呪いが飛び出す。こんなときくらい格好つけさせてくれ。
     なぜ告白した自分が告白された彼に詰め寄られているのか、訳がわからなかった。
     そして、それ以上に、彼が笑顔で頷いた理由がわからなかった。

    「そう。いいよ、付き合おうか」

     あっさりと、買い物に付き合ってあげてもいいよとでも言うように。
     南泉に恋をしているようには少しも見えない余裕の微笑みで。

    「え……っと、お前、意味、わかってるか……にゃ?」
    「馬鹿にしてる? 喧嘩を売ってるなら買うけど」
    「売ってねぇ……そうじゃねぇけど……」

     恋仲になりたいかと問われればそりゃあなりたい。だって好きだから。
     しかし正直、受け入れられるとは欠片も思っていなかった。
     実のところ南泉は、キッパリスッキリ振ってもらうために告白したようなものなのだ。

     好きだと気づいてしまったから、今までのようにただの腐れ縁の顔をして隣にいることはできなかった。そんなものは己を信頼してくれている山姥切への裏切りだと思った。だから、告白しないという選択肢は最初からなかった。
     そうして、告白するということは振られることとと同義であり、失恋を意味している、と南泉は思っていた。

     山姥切なら昔馴染みだからと変な手心を加えるようなことはしないだろう。
     いや、他でもない南泉相手だからこそ何ひとつ包み隠さず、少しの期待も残すことなくこの恋を終わらせてくれると、信じていた。

     が、フタを開けてみたらこれだ。
     予想外もいいところの色よい返事に、喜びよりも困惑が勝る。どう反応すればいいかわからない。
     そんな南泉に何を思ったのか、山姥切は無造作に距離を詰めてきて。
     少々乱暴に襟元を掴まれ、グイッと引き寄せられると、唇にやわらかな感触、が。

    「ゃっ……!?」
    「つまり、こういうことだろう?」

     踏まれた猫のような声を出して両手で口を押さえる南泉に、山姥切はフフンと強気に笑った。
     まさに、高慢そのもののような、うつくしく気高い、自信に満ちあふれた笑み。
     こんなうつくしい化け物が己のものになるなんて、やはり、南泉にはとてもじゃないが信じられなかった。

    「俺も好きだよ、猫殺しくん。ふふ……楽しくなりそうだね」

     言葉通り楽しげに笑う山姥切に、南泉は笑い返すことができなかった。少しも同意できそうになかったからだ。
     むしろ、ああここからオレの地獄は始まるんだな、という直感があった。
     恋仲となった瞬間にはあまりにも相応しくない、しかし外れる気のしない予感だった。


      ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


     得てしてそういう嫌な予感ほどよく当たってしまうものらしい。
     山姥切は南泉と恋仲となったことを隠さなかった。当然ながら本丸中で祝福された。長船に冗談交じりに囲まれたのは正直普通に怖かった。
     そうして山姥切は、南泉との仲を進めることもまた、厭わなかった。乗り気だった、と言い換えてもいいほどに。

     元々同室のため、恋仲らしい触れ合いは基本的にふたりの部屋で行われた。
     最初が最初だっただけに、キスは日常的に。
     それが段々と深まり、互いの身体へと手が伸びるまでそう時間はかからなかった。

     男同士で交わる際の手順については、もちろん念入りに調べた。少しだって傷つけたくはなかったし、即物的だがそのせいで今後に響くのも嫌だった。
     時間をかけ、理性をかき集め、彼にとっても悪い夜にならないよう尽力した。すべては初めてだが、腐れ縁としての観察力が功を奏したのか、どこにどう触れれば悦んでくれるかは彼の反応を見ていればわかった。

     たまらなく幸福だった。
     今ここで時が止まればいいのにと、柄にもないことを思ってしまうほどに満ち足りた時間だった。
     交わした熱がうれしくて、いとしくて、泣きたくなるような夜に実際少し泣いて。
     翌朝、南泉は隠れて吐いた。

     ふたりは恋仲で、合意の上だった。何も問題はないはずだった。
     ただ、そう思いたいだけだと、本当はわかっていた。
     彼のこころを置き去りにしたまま、ひとり満たされてしまった己の欲深さが、おぞましかった。

     
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