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    @Liar_ps

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    【隔離中華街 過去編】
    アルの過去話です。

    ちいさな二体の操り人形 phase.アル「おめでとうございます。可愛い双子ですよ」
    「本当にありがとう。アキ。」

    小さな病院内で響き渡る二つの泣き声。
    この日、討伐者として戦う夫婦の元に2つの命が誕生した。
    二人の両親は目の前に生まれた小さな二つの宝を見て安堵し、涙を流した。
    二人とも似た灰色の髪。違う所は瞳だけだろうか、一重な茶色の瞳と二重な緑色の瞳。で誰から見てもとても可愛い子供達であった。
    両親は茶色の瞳の子に「アル」緑色の瞳の子には「キル」と名付け、この子供達も家族の元過ごした後両親のように血と吹き出し、死にそうになりながらあやかしと戦う日々が待っている。

    そのはずだった。

    二人が物心がつき始め年齢が五つになった夜、父親はキルを連れ去り姿を消した。

    「どうしてキルをなぜ攫ったの私達の大切な子を」

    次の朝、母親はひとつの宝物を無くした悲しみに耐えきれず我を失って一日中部屋を泣き叫び続けた。

    「まま…きるはぱぱも…どこぉ…」

    アルは物心が着いたとは言えまだ5歳なったばかりの小さな子供。叫ぶ母親をキョトンとした顔純粋な瞳で見つめる。…その瞬間、母親は壊れた。

    「アル何を言っているの元々ママと二人で暮らしていたじゃない夜に変な夢を見ちゃったのかな」
    「え…ままだってきる達は…」
    「黙りなさい貴方はママと二人で住んでいたのそんな子なんて存在しないのよ」

    声を荒らげアルに怒鳴りつける。
    心の中で愛してやまない父親とキルの記憶を無理やり消し去り、自身の宝物は目の前に居るアルただ1人だけだと思い込んだ。
    思い込まなければ生きて行けなかった。
    今何処にいるのか、生きているのかさえ分からない。なら、居ないことにしてしまえばいい。愛情は全てアルへ注ぎアルの為に生きる。それが生きる理由。
    そうやって壊れた時計のように狂った母親はアルに二人の事を話させないようにした。それだけ。他は何をしても良い。

    「私が見ているから、気になったものは試してみなさい。やりたい事はやりなさい。」

    母親が見ている所でなら、木に登ったり走り回ったり人を殺したりしても良い。あの言葉さえ言わなければ。そうやって育てられたアルは毎日暇な事が無いくらい楽しい日々を過ごし、それから1年経つ頃にはもうアルの脳内から二人の存在は消え去っていた。
    母に監視されながら過ごすアル。その姿は笑顔に包まれていたが中身は空っぽの操り人形。
    傍から見ると、アルの母親は糸を垂らした人形技師。
    一日でも家から離れれば母親はまた、壊れ一ヶ月は外へ出られず軟禁状態になる。
    でもその母親の教育法が逆手になってしまった。

    十年後、十六歳になったアルは母と暮らしていなかった。やりたい事は何でもしていいと言われ育てられた結果、人を斬る快感に目覚めてしまいあやかしも斬ってみたいと一人で暮らす事を選んで母親を無視し、隔離中華街のすぐ側で暮らし始めた。

    母親は自身の選択で宝物という名前のお人形さんを泣くし毎日探し回っているだろう。
    そんなアルは今日も中華街を歩き回り、何となくひとつのビルヘ登る。

    「わぁ…ここ凄い綺麗…」

    周りの景色を見たわしているとふと気になる物を見つけて固まった。会ったこともないはずの緑髪のあやかし、前髪を束ね望遠鏡を覗いている。
    覗いてない片方の緑色の瞳を見てとても懐かしい気持ちが溢れた。

    ー前に何処かであった前じゃない。昔大好きだった私の大切な人…

    「キル」
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