小さな二体の操り人形 phase.キル僕は昔、父さんに改造された。
あの日の夜、眠っていた僕を外へ誘い出してそのまま中華街のある一角へ連れ去ったんだ。
「ぱぱ…ここどこ…おうちに帰りたいぃ…」
「キル、いまからお前は素敵なあやかし様になるんだよ。」
「あやかしさま…」
まだ幼く怖がっていた僕に父さんはそう伝えた。
あやかしさまあやかしって怖い人達の事じゃ無いのそう伝えられ頭がぐるぐる回りながら椅子に座らされ、父さんといつの間にか周りにいた謎の人達に押さえ付けられながら変な薬を打たれた。
ここは、どこ体がおもい。なんでこんな場所でよこになってるの僕の周りにいる人みんなお話してる…でもお口はうごいてないよねなんで
目を覚ました僕は辺りを見たわす。
周りにいる大人の人達はみんな揃いも揃って1人を見つめて何か言ってた。
〔素敵な実験体をくれてありがとう。〕
じっけんたい…とりあえず色々聞かないと。
小さいながらに思いついた。
「ここは…何処なのおにぃさんたち、誰」
キョトンとした顔で話しかける。
「僕のお名前ってなぁにわかんない…僕はいくつ男の子なの女の子なの」
〔こいつ…記憶がないのか…丁度いい。あやかしとして生まれ、性別が消えちゃったって事も元々無いことをしてやろ。〕
あぁ…こんなお芝居に騙されてくれるなんて。
まだ五歳なのに我ながら凄いなぁ…副作用で大人の考えにもなってしまったのかな、いや。
ー壊れて、諦めただけか。
「あなたの名前はキル、十七歳です。貴方はあやかしで今までの間致命傷を負い眠っていました。眠っている間は身体の成長が止まっているようで、能力までは知らないのですが…使えますか」
〔こんなんで餓鬼は騙されんだろ。能力は知らねぇし出てなかったら経過観察で…〕
そんな事を言いながら奴らは「戯畄」と書かれた紙を渡す。
戯…おゆうぎの戯だよね、もうひとつはわかんない。だけどおゆうぎって事はなりきればいいの十七さい…この人たち流石にそこまで年齢を盛るなんて…まぁいいや。
じゃあいっそ、キルはおしまい。
それが今からの「僕」ね。知らない誰かを演じさせられるお人形さん。人にいいように扱われて、飽きたら捨てられる。ゴミのような存在。
「戯畄…、十七歳。わかった。でも僕色々分からない事が多いから色々教えて欲しい。」
「いいよ。これから沢山覚えておこうね。」
〔俺たちの大切な希望であり、実験体さん〕
そう言われ頭を撫でられてから十年間、僕は英才教育を受けた。勉強や字の練習、世間についてと、特に僕の能力についての研究。
初めから能力なんて、奴ら心なんてわかったけど徐々に伝えて、自分自身が悟られないようにした。
だけど僕にも環境という物には逆らえなくて口調が荒くなってしまう、辛くても苦しくても本当の僕は誰も知らないから、いつも笑ってる。
キルではなくて、戯畄というただのカラクリ人形である限り