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    Naaa_Kmsmnnmd

    @Naaa_lcl

    ローとコラさんが大好きな腐った文字書きです。
    お絵描きとか、ちょっと見る人を選ぶような話とかを置いていきます。

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    Naaa_Kmsmnnmd

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    抱いたのは貴方の続き。芸能パロのローコラ。モデルの🐯×芸人❤️‍🔥。路上キスしてるローコラがパパラッチされちゃう話。モブ視点→🐯視点です。

    抱いたのは貴方 -続き-やけに洒落たジャズが流れる店内でその場に似つかわしくない男がいた。そう、俺だ。この店の珈琲が好きで週に一回このカフェに通っている。他店とは違い、浅煎りの苦味が少なく酸味の強い珈琲が俺は好きなんだ。
    大好きな珈琲を口にしてもなお、口から出るのはため息ばかり。カメラマンを目指して上京したものの、この世界は思ったよりも厳しくて今じゃ生活のためのアルバイトを掛け持ちしてその日暮らしを送っている。

    木目の丸いテーブルに置いたカメラを手に取る。撮った写真はどれもパッとしなかった。ただ一枚だけ、唯一気に入った写真がある。それは山奥で肝試しをしている最中に撮ることができた写真だ。
    心霊写真ではない。森の中を彷徨っていると開けた場所に出た。そこはどうやら遊歩道のようで、その中央に位置する湖と星空の美しさにハッと息を呑まれた。首にぶら下げたカメラを手に取り、ファインダー越しに美しい風景を眺めていると奇跡が起こったのだ。

    突然眩い光がこちらへ向かって来た。目を細めながらも負けじとシャッターを切る。その瞬間、ファインダー越しに映ったのは満点の星空と一両編成の列車。そして湖に反射した列車の姿だった。無我夢中でシャッターを切り続けるとその列車は彼方へと消え去った。

    この写真をフォトコンテストに送り、受賞されなければカメラマンとしての道を諦めよう。そう決めたんだ。でも本当にこの写真で良いのか分からない。だから俺の最後を飾る写真を撮るべくあちこち出回っていたが、今の所目ぼしい成果はゼロ。奇跡が起きた夜に撮れた写真だけが唯一の候補だった。

    なにやら店内が騒がしい。カメラをテーブルに置いて顔を上げると、入り口に長身の男が二人立っていた。一人は黒髪で顎髭を蓄え、深緑色のチェスターコートに身を包み、丸メガネをかけたお洒落な男。もう一人はとにかく背が高い。今まで出会ってきた人々よりも抜群に背の高い金髪の男を見て、あれ?と首を傾げる。

    あいつ、もしかして芸人のコラソンじゃないか?じーっと目を凝らす。間違いない。コラソンだ。テレビの中と変わらない笑顔を店員に振り撒いた彼は俺の目の前の席に案内された。

    「このカフェめっちゃお洒落だな〜」
    「ここの珈琲ちょっと変わった味がするんだ。豆の炒り方が違うらしい」
    「へ〜、そうなんだ。おっ、シフォンケーキも美味そうだなぁ。俺、ケーキも頼んでいいか?」
    「コラさんの好きにしろよ」
    「やっりぃ!」

    コラソンってオフの時でも変わらないんだなぁ。陽気な姿に少しだけ元気づけられる。向かいに座っている男は誰だろうか。どこかで見たことがある気がする。
    無愛想なその男は端正な顔立ちをしていて、まるでモデルのようだ。⋯⋯モデル?そうだ、思い出した。メガネをかけていたので気がつかなかったが、彼はトラファルガー・ローだ。間違いない。

    数々の女性を虜にし、男なら誰しもが憧れる海外の高級車メーカーのCMに大抜擢された男。昔は俺もいつかファッション雑誌のカメラマンになりたいとか、そんなことを考えていたっけ。

    カメラマンに憧れと幻想を抱いていた昔のことをつい思い出してしまった。キラキラと輝く彼らと底辺の俺を比較してしまう自分が情けない。
    ふと、なぜ彼らが仲睦まじくカフェに来ているのか疑問に思った。コートのポケットからスマホを取り出して検索エンジンアプリを開く。

    「ロー コラソン」で検索すると一番最初に出てきたのは十年以上続いている某動物番組のホームページだった。開いてみると、どうやら二人はこの番組のレギュラー企画に参加しているらしい。⋯⋯待てよ?トラファルガー・ローが動物番組に出演?
    似合わない。ぜんっぜん似合わない。クールな彼が動物と戯れているところなんて一生懸命考えても想像できなかった。

    ブラウザを戻してページをスクロールしていくと気になる記事があった。タイトルは『ローとコラソンは付き合ってる!?徹底検証!!』だ。気にならないわけがない。
    どんどんスクロールして記事を読み込んでいく。どうやらローのSNSは今まで飼い犬の写真ばかりだったのに、動物番組で共演するようになってからはコラソンの写真を頻繁に投稿するようになったのだとか。

    一方のコラソンはバラエティでローの話をよくするようになったらしい。それもよくある"仲良しのお友達"の枠を超えていて、二人でバスタブに入ったら狭すぎて抜けられなくなっただとか、一緒のベッドに入っていたら自身の寝相が悪すぎてローに怒られただとか、衝撃的な爆弾発言を残している。

    変装もせずに二人で出歩く姿の目撃情報もたくさん寄せられている。でも二人ともお揃いの指輪をつけているだとか、ラブホテルに行く姿なんて写真は無く、あくまでも噂程度の話のようだ。

    でも、もしもその噂が本当だったとしたら?あんな写真やこんな写真を撮って週刊誌に持ち込めば数ヶ月分のバイト代が稼げる。

    そうして俺は欲に負けて、二人の後をついて行くことにした。辺りはすっかり暗くなり、冬特有の冷え切った澄んだ空気が喉を刺す。喉元まで出かかった咳を必死で抑え込んだ。人気のない路地を選んで通る彼らにバレないよう、細心の注意を払って後をつける。

    駅の方角とは正反対だ。このまま自宅に帰られてしまったら撮れ高はゼロ。寒い中、ここまで後をつけてきた意味がない。
    もう諦めて帰ろうか。そう思った瞬間、ローがコラソンの腰を抱いた。ローは何かを囁くとコラソンはぐっと背を縮めた。そして二人はキスをした。

    待ち望んでいたシャッターチャンスだ。震える手をカメラに添えてシャッターを切る。複数枚撮ってから唇を重ねた二人は離れた。急いで撮った写真を確認すると、二人がキスしているところがバッチリ写っていた。
    よし、これでしばらくは食うものには困らない。そう思いながら二人を見つめていると何やらローの様子がおかしい。コラソンに何かを呟くとコラソンは一人でその場から立ち去った。そしてローはなんと、こちらに向かって真っ直ぐに歩いてくるではないか。

    やばい、逃げよう。その場から走り去るとローは追いかけてきた。さすがモデル。鍛え方がまるで違う。俺はあっという間にローに捕まった。
    地面に叩き伏せられる寸前でカメラを頭上に持ち上げる。⋯⋯良かった、カメラは無事だ。安堵していると、俺の背中に乗ったローが口を開いた。

    「職業柄、カメラの音には敏感なもんでね」
    「ご、ごごごめんなさい!」
    「あんた、出版社はどこだ?」
    「へ⋯⋯?俺、素人です」

    面食らった顔をしたローは俺の背中から降りて訝しげに尋ねてきた。

    「じゃあ、なんで俺たちのことを撮ったんだ?」
    「お金目当てでして⋯⋯」
    「週刊誌にリークしようとしてたってわけか。で、あんた金はいくら欲しいんだ?」

    かね⋯⋯?いくら欲しい⋯⋯?あればあるだけ良いが、こいつは何故そんなことを聞くんだ。思わず眉をひそめる。そうだなぁ、百万とか?百万あれば新しいレンズが二つは買えるし、美味しいご飯だって食べられる。
    混乱してよく回らない頭で答えた。

    「えーと、百万円とか?」
    「⋯⋯」

    流石に欲張りすぎたよな。桁を一つ減らしてくださいと言おうとした瞬間、ローは鞄から財布を取り出した。
    おい、嘘だろ?なんで帯付きの一万円札の束が財布から出てくるんだよ。ほらよと言って差し出された金にくらりと眩暈がする。

    「そんな貰えませんよ!」
    「お前が欲しいって言ったんだろ。これと引き換えにカメラのSDカードを貰ってもいいか?」
    「それは⋯⋯」

    このSDカードには俺の奇跡の一枚が入っている。大切な宝物なんだ。渡すわけにはいかない。その旨をローに伝えると、先ほど撮った写真を全て消すよう指示された。
    言われた通りに写真を削除してからカメラをローに手渡す。液晶を眺めていたローは指の動きを止めて一枚の写真を眺めていた。

    「この写真、いいな」

    それは例の奇跡の夜の写真だった。誰かに認められたことが嬉しくてつい饒舌になりつつも、その景色を撮った当時のことを話した。要領を得ない俺の話にローはときおり相槌を打つ。
    口から次々と出てくる言葉を拾ってくれたローは俺が一生忘れられない台詞を口にした。

    「あんたは良いカメラマンだよ。良かったら将来俺のことも撮ってくれ。もちろんモデルの仕事として、だけどな」

    そう言って彼は手をひらひらと振り、踵を返して愛しい人の元へと帰っていく。しかし途中で彼は振り向いて、自身の唇に人差し指をつけた。

    「このことは内緒にしてくれ」

    右目をぱちっと閉じてウインクした彼は今度こそ去っていった。どっと疲れが出て、思わず尻もちをつく。肌寒い季節だというのに俺は汗をかいていた。

    その後、ローにお墨付きをもらった写真でフォトコンテストに応募した。そして、優秀賞を頂いた。その後はいろんな出版社からの依頼が殺到して、今ではフリーランスのカメラマンをしている。
    あの日、トラファルガー・ローに出会わなければ今の生活は手に入らなかっただろう。感謝してもしきれない。

    そして俺はあの日約束した通り、二人の秘密を守り続けている。いつか彼の撮影をするときが、彼と同じステージに立てる日が来たらあのときのお礼を告げるつもりだ。



    「急に一人で先に帰ってろってどういうことだよ」

    俺のマンションに先にたどり着いた恋人は俺が部屋に入るや否やケチをつけた。そりゃそうだ。道端でキスをしたと思ったら突然突き放されたんだ。そりゃあ、不貞腐れるわけだ。
    コラさんはソファに深く腰掛けて、膝に俺の飼い犬を乗せている。事情を知らないおにぎりは俺の元へ駆け寄り、尻尾を左右に振った。主人の帰宅を喜んでいるようだ。

    さて、どうしようか。もしも先ほどのカメラ男の話を正直に話してしまったら、きっとコラさんはもう二度と外でキスなんてしてくれない。
    誰かに見られるかもしれないというスリルがこの上なくたまらなかった。
    この交際がバレてしまったら互いの芸能活動に支障が出てしまう。それこそ隠れるようにして付き合っていたら逆に目立ってしまうだろうと、あくまで友人関係であることを強調して仕事を続けていくことにした。

    だから互いのSNSの写真にはしょっちゅう映り込むようにしているし、仲が良いことも公にしている。コラさんはというと、ときおり口を滑らせて"仲良しのお友達"では済まされないような発言をしてしまうこともある。
    それでも俺たちは徹底して友人関係であるということを強調している。変装もせずに堂々と二人で出歩いているのも「やましいことは一つもない」と主張するためであった。

    スポーツカーの展示会に呼ばれた際に記者から「コラソンさんとはどういうご関係なんですか」と問われ、営業スマイルで「仲の良い友人です」と答えたこともある。さらに付け加えて、「いつか、週刊誌のネタにされたくてときおり路上でキスしてます」と言うと会場はどよめいた。
    この件に関しては後日コラさんにこってり絞られたが、今となっては好都合だ。もし撮られてしまったらネタにされたかったと答えることができる。

    もちろん、週刊誌によって二人の秘密の関係が他人の目に晒されるのは気に食わない。だから今日は盗撮をした男を問い詰めたわけだ。

    「おい、ロー。聞いてんのか?」

    どうやら俺の恋人は相当ご立腹のようで、キッと俺を睨みつける。隣に座り、抱きついて頭を撫でるとコラさんは声を荒げた。

    「そんな事されて絆されると思うなよ!」
    「悪かったって。すぐに帰ってきたんだから良いだろう」
    「良いけど、それとこれとは問題が⋯⋯」

    ベラベラとよく口が回るコラさんの唇を奪うと、急に潮らしくなった。このギャップが俺は好きなんだ。俺しか知らないコラさんの本当の顔。こんな顔を俺以外のやつに見せてやるつもりはない。

    「コラさんシャワー浴びよう」
    「こんなでかい男二人で入ったら狭いだろうが。この間なんてバスタブに二人で入ったら出られなくなっただろう?」
    「それ、先週のバラエティで口滑ったやつだよな?」
    「やべっ、オンエア観たのか?」
    「SNSで話題になってたぞ」
    「ロー、ごめんな〜!」

    ごめんなと言われても、もう放送されてしまったのだからどうしようもない。距離が近すぎる"友人"を演じて大正解だ。
    今度の休みは二人で露天風呂付きの旅館に泊まろうか。そこならきっと誰にも邪魔されずにゆっくりとくつろげるはずだから。
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