時折身動ぐたびに聞こえる衣擦れの音以外、わざわざ取ったホテルの部屋は静寂に包まれている。だから、普通だったら生活音にかき消されてしまいそうなぎゅるる、という微かな腹の音さえやけに大きく響いた。
「……うー……」
　いたい、と呻くように浅い呼吸を繰り返しながら布団に包まったままグレイが己の腹を擦っていた。苦しむグレイの様子を隣でアッシュは見ていることしかできない。
「……薬はちゃんと飲んだんだろうな」
「飲んだ……」
　まだ効かないと嘆くようにこちらに背を向けた丸まった背中が震えている。
　こういう時はせめて擦ってやるべきなのか。だが、そんな労りをアッシュは他人に施したことはない。だから苦しむグレイを見ていることしかできず、それしかできないことに内心焦ってもいた。

1日の終わりで初夜解禁して失敗するビリグレ早口誕生日で成人えっち解禁のビリグレなんですけど、日付変わってすぐにビリーはグレイにえっちのお誘いするんですよね。まぁ前々から成人までお預けってしてたしソワソワ周りに誕生日アピールしつつもグレイにはねっとりした視線とか空気出して意識させてきたんだけど、やっぱり当日すぐするんだ....て真っ赤になっちゃうぐれいくん。

緊張で固まってるうちにキスされて撫で回されて脱がされて後ろに手が伸びてきてうわいつの間に！？て慌てるグレイくん。

グレイは今日はサプライズでビリーのバースデーパーティーを企画してるんだよねぇ。

まぁ普通にセクターでお祝いするのは事前に企画してて、食べ物とか本人の要望聞いて準備してるやつがあって、それはメンターズが仕事終わったら夜にやる予定なんだよね（セクター4人いっぺんに休むシフトは厳しい）。夜開催だしパイセンの介入で料理とか準備とかもほぼ業者の、ビリグレはあまりてを出さなくてもできる。つまり今いちゃいちゃして午後までゆっくりしてても問題ないスケジュール。だとビリーは思ってるのね。

ガバガバースなビリグレ② そんなことがあった数日後。午後のパトロールの後、ビリーは談話室に向かっていた。
最近は情報屋の仕事も選ぶようになったので暇を持て余している。どこかに遊びに行く気分でもなかったので暫く部屋でネットサーフィンをしていたのだが……。

(最近、どんどん匂いが強くなってる……)

部屋の奥側に設置された彼のスペースから、あの脳を揺さぶられるような香りがひっきりなしに漂ってくるのだ。甘くて美味しそう、それでいて体に熱を灯すような奇妙な匂いをこれ以上嗅ぎ続けるのは危険だと判断して、とりあえず部屋から逃げ出してきた。
もう何かに集中できる気分でもない。誰か知り合いがいたら絡んで暇つぶしでもするか、と思い談話室の中に入る。

未来　がちゃり。
　ドアが開く音を聞いて、グレイはソファの上で身を固くした。向かいに座るアッシュも臨戦態勢に入ったのが伝わってくる。
　のんびりと顔を上げたのは謎の男だけで、ちらりと時計を見上げてからドアに視線を向けて表情を緩めた。
　男が救急箱の蓋を閉めるのとタイミングを同じくして、一人の男が姿を現す。
　その顔を見て、グレイは小さく息を呑んだ。なんとなく覚悟をしていたとはいえ、こうして目の当たりにするとやはり驚いてしまう。
　短い灰色の髪。制服は見慣れたデザインと色で、胸元のバッジの星の数だけ違う。夕焼け色の瞳は鋭く、その視線が向けられる前にグレイはさっと顔を伏せた。
「アッシュ、おかえりなさい」
「おう。……おい、なんだ、そいつらは」