巡ったそのあとの話「よォ、久しぶりだな」
常夏の新境地。そこで数年ぶりに顔を合わせたレッドは、知らない人間だった。昔後ろに着いてきて、果てには追い越していった少年の姿はもうない。グリーンよりもしっかりとかした体格で、目線も少し高い。
「…久しぶり」
どちらも思わず、といった様子で笑い合う。グリーンは笑うレッドの顔を見て、思いかけず気が緩んだ。見てくれがどれだけ変わろうとも、ヘッタクソな笑い方だけはかわらないのだと。けど、それでも、目の前にいるのはグリーンの知らないレッドに間違いなかった。
「…なんかデカイな」
「グリーンはチャラいね、なんか」
「言ってろ」
数年前にセキエイ高原で戦って以来、初めてレッド会った。しかし、この邂逅はお互いに示し合わせたものではなかった。
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