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    takanawa33

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    トラ飯 弟子が憤怒する話① 下品

    「ふ、ふ、ふ、ふざけるな貴様ァアアア!!!!!!」

     名実ともに今や世界ナンバーワン企業のカプセルコーポレーション本社から車で30分、飛べば3分のその家。前社長であり現相談役のブルマの息子、現カプセルコーポレーションの社長、トランクスの本邸は怒号と共にぐらりと地盤が崩れた。
     地球最悪の大災害、人造人間のせいで強度と耐震にはこれでもかと力を入れている現在の家々の中でも抜きんでて守りを固めているはずの若社長の家がいとも容易く(本人のせいで)倒壊していく様子を見ながら、その憤怒の原因であるトランクスの師匠こと孫悟飯は『トランクスはベジータさんの記憶がほとんどないはずなのに怒った時はそっくりなんだな~、遺伝かな』なんて現実逃避も兼ねたぽやぽや劇場を脳内で展開していた。だって弟子に『貴様』呼びされたことなんてなかったし、ちょっと内心泣きそう。実はすでに涙腺は微弱ながら活動している。それはさておき。
     膨れ上がっていく弟子の筋肉とヒュンヒュンと風を切る黄金のオーラ。圧倒的な気迫に物怖じせず関係ないことを考えている悟飯。こうなった原因はつい二分前の会話が原因である。

     早い話、二人は恋人同士だ。神龍やら過去からきた戦士やらの力で復活を遂げた悟飯。あれよあれよと新たな脅威を倒し、本当の平和が訪れた未来軸の世界。そんな世界の中、トランクスも最初は人畜無害、師匠を慕う弟子として振舞っていた。片腕もなく、時間が止まっている悟飯の助けになりたい、寄り添ってこうと、そう思っていた。
    ところがどっこい、幼年期から続く悟飯への淡い恋心は彼の死を機に彼への異常なまでの渇望に変化しており、そんな青年の前に実物の悟飯がいるわけだから清い気持ちのままでいるのは到底不可能。もう子供だったころとは違う汚い大人の感情が抑えきれないトランクスは自分の隣で平和な世界を謳歌し、朗らかに笑うその人に積年の気持ちをぶちまけた。
    玉砕覚悟、もし否定されたらすっぱり諦めて(後から考えるとそれもできるのか疑わしいかぎりだが)仕事人間として生きていこうと思っていたトランクスに「俺でいいのか?」とまさかまさか受け入れてくれた師匠。これにてトランクスは晴れて人生のパートナーの座を手に入れたのである。
     そこからティーンの少年少女でさえ裸足で逃げ出すような清いお付き合いを続け、ある時は公園で手を繋ぎ、海で肩を抱き、段階を経て今まさに自宅でキスしようとしたその時、悟飯は唯一残る右手でそっとトランクスの胸を押し返した。そして一言。
    「いや、トランクス。こういうのはどうかと思う。君も俺なんかに欲情しないだろう」
     澄み切った黒曜石の瞳でまったくそれが本当のことだと信じきった様子で悟飯は言った。
    つまり、トランクスは悟飯に──勃たないだろう、と。
     そして冒頭に戻る。

    「貴様……孫悟飯、貴様……」
    「……はい、俺が孫悟飯です……」
     倒れていく全自動調理器。破裂する空気清浄機。
    「俺が……欲情しない? 悟飯さんに?」
     パリン、防音遮熱強化ガラスが割れる。怒りと共に立ち上がったトランクスに対し、キスされようとした体制で悟飯はベッドに座ったまま。しかしそのベッドはとうにボキボキに破損しており、今悟飯は動けないままベッドだったものの上で空気椅子を強いられている。だって、怖い、動くのが。トランクスのガチ切れを始めて見て体感する悟飯は収まらない彼の憤怒の気配に肩身を狭くしながらガラス片が散乱する床を見ては背中にじんわりと汗を浮かべていた。
     だって、でも、そうじゃないか。どう考えてもこんなガチムチの男に、なんでトランクスのような眉目秀麗、力も金も地位も血筋も恵まれ女の子なら一時間毎にとっかえひっかえしても大丈夫そうな(そんなこと本当にしたら師匠としてぶん殴るが)男が興奮するわけがない。
     悟飯は思っていた。トランクスが欲しているのは家族のような存在で、性欲とは無縁のプラトニックな信頼関係を結べる相手なのだと。というか、悟飯がそうなのだ。子作り以外のタイミングでセックスをする必要性を感じない悟飯にとって快楽のために行うそういった行為は頭になく、さっきトランクスにキスされそうになった時ふいに知識として『恋人同士はえっちする』が浮かび上がった。そうだ、人間ってそういうものらしい。戦いに身を投じすぎて一般感覚は全然まったくこれっぽっちも分からなくなっていたけれど(しかも母親がそういうことにひどく嫌悪を示す人柄のせいで彼もまた無意識に避けるようになっていたけれど)恋人って、愛し合う二人って『えっち』するんだ! という現実が急に目の前に現れた。
     いや、でも俺たち男同士だし、トランクスはどうなんだ。え、まさか、興奮する? 嘘だろお前だって俺は男で筋肉こんな感じで君にとって俺のいいところって戦地の中で共に歩んできたってことだけで、そういう、そういうのって。混乱した悟飯の口からポロリとでてきたのが『君も俺なんかに欲情しないだろう』という言葉なのだ。
    「俺が……興奮しない」
     トランクスの気に中てられた家じゅうの電気配線がプチプチと切れていく音がする。
    「初めて夢精した時の内容が貴方のおっぱいに顔を埋めて手コキしてもらうっていう内容だった俺が!? 悟飯さんに興奮しない!?」
    「待ってトランクス、それ俺が聞いていい内容なのか!?」
    「母さんに夢の内容を伏せて夢精について相談した時に好きな女の子のことを想像しながら適度に抜けって教えてもらったのに女の子のことなんてまったく考えられなくて毎回毎回悟飯さんに抜いてもらったりしゃぶってもらったりする妄想で抜いて最終的には悟飯さんに騎乗位セックスしてもらう妄想で一日最高で三回抜いたことがある俺が、悟飯さんに欲情しないって!?」
    「ねえトランクスまって! 待ってトランクス、今君はとても大変なことを白状しちゃってるから!」
    「恋人になってからはデートのたびに下半身がどうにかなりそうで朝から一回は抜いて家を出たのにやっぱりあなたに会うと草原の花とか、おひさまとか、時には家庭的な料理の香りに興奮しちゃって時々トイレで深呼吸してから下半身の気をコントロールしてた俺が孫悟飯に! 欲情! しないって! 貴方はそう言うんですか!?」
    「なんかごめんね!」
     ごめんね! ごめんなさい! なんで弟子にこんな謝ってるんだろう、思いつつこれ以上暴露されたら弟子の顔を今後一生まともに見れないような気がして孫悟飯はこれ以上ないくらい涙目で謝った。そんな悟飯の様子に若干、若干冷静になったトランクスはようやくサイヤ人化をといて彼の美しい髪をさらりと肩に落としながら真っ赤な顔の師匠を見下ろした(ご丁寧にまだ悟飯は空中椅子の真っ最中なのである)。
    「俺が本気って、わかってもらましたか?」
    「はい……これ以上ないほど」
    「そうですか、それならよかった」
     粉々になった窓から注ぐ光を背に受け、ニコリと微笑む青年はチープな表現だが天使のようだ。母親譲りのグレーに近い青の色素を含んだ柔らかな髪、不自由なく伸びた四肢、そして圧倒的に顔がいい。そしてその天使は空中椅子のまま固まっている悟飯の右手を取り、立たせ、腰を抱き寄せてさらに微笑む。
    「じゃ、セックスしましょう」
    「……」
     かくして孫悟飯はその日、めでたく処女を失ったのだった。

     めでたく処女を失ったくだりもちゃんと書きます。書かせてくれ。
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