たからものを握り締めて「ええっと……何処だ、ここ……?」
「僕が知るわけないだろ」
ほとんど独り言のようなものだったのだが、カインの問いに隣にいるオーエンが応じる。不機嫌さを丸出しにした声音だったものの、会話をしてくれるあたり、まだ完全にへそを曲げるまでには至っていないようだ。狭い空間に二人きりというこの状況で暴れられては堪ったものではないので、少し安心した。
そう、狭い部屋だ。狭いといっても、魔法舎の自室と同じくらい――というか、形も含めてまったく同じような気がする。違うのは白い床と壁以外、何もないということ。
オーエンと廊下で立ち話をしていたら、突然スノウとホワイトが呪文を唱える声が聞こえてきて、気付いたらここにいたのである。ドアも窓もないので、脱出方法を考えなければならない。……そもそも、こんな所に閉じ込められた理由がわからないのだけれど。
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