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    軽い偏頭痛持ちの🐯とそれを初めて見た🐶の話。

    雨と歌えばこめかみの辺りからじくじくと鈍い痛み頭全体へとが広がる。普段なら何ともない部屋の明かりが眩しくて、目を閉じた。視覚からの情報が無くなったせいか、外から聞こえる雨音がやけに大きく聞こえる。窓を叩く音が耳障りで仕方ない。気怠い体を動かして、シーツを頭まで被った。
    雨はあまり好きじゃない。
    「トラ〜……大丈夫か?」
    扉の方からトウマの声が聞こえてくる。包まっていたシーツから顔だけ出して視線を向ける。ぺたぺたと歩いてベッドの縁へと腰掛けながら手に持っていたものを差し出される。
    「ん、水と薬。飲めそうか?」
    「……のむ、ありがとう。」
    持ってきてもらった薬を飲もうと、何とか体を起こす。ズキリ、と一段と強い痛みが走った。思わず顔を顰める。パキ、薬を取り出して水と一緒に飲み下した。
    「大丈夫か?」
    「薬は飲んだし、しばらくすれば落ち着く、」
    ぎゅう、と眉をひそめながら問われる。痛いのは俺なのになんでお前まで痛そうな顔をしてるのか。そう思いはしたが口には出さず答えてやった。けれど、その答えでは納得できなかったのかより一層の眉間の皺が深くなった。
    「雨降ってる時いつもこんななのか?」
    「いつもじゃない。たまにだ、……寝不足の時とか、疲れが溜まってる時とか、そういう時くらいにしかならない。」
    「あ〜……最近忙しそうだったもんな。」
    苦々しそうに言葉を吐きながら、手を伸ばされる。頬に張り付いていた髪をするりと解かれて、そのまま頬を緩く撫でられた。
    どうも自分は気圧の変化で体調を崩すらしい、と気付いたのは割と最近のことだ。学生時代はこんなに疲労が蓄積することはなかったから気付かなかった。出来るだけ睡眠時間は確保するようにはしているが、ここ数日のスケジュールが詰まっていたおかげであまり疲れが取れていなかったのだろう。疲弊が最悪の形で一気に現れた。せっかく久々にオフがトウマと被ったのに。
    「まだ痛い?」
    「まぁ、……薬効くまでしばらく時間はかかるからな……。」
    「そっかぁ……。」
    頬に当てられていた手を動かしてこめかみ、額から頭と順に撫でられる。自分が熱を持っているからか、トウマの手が冷たく感じられて少し気持ちいい。薬の副作用も相まって眠たくなってきた。
    「俺はしばらく横になってるから、トウマは好きにしてていいぞ。この間機材新しくしたからシアタールームで映画でも見てろ。」
    「え?いやいやなんで、一緒にいるって。」
    そろそろ体を起こしているのも限界だと思い、トウマにその旨を伝えれば即座に否定された。
    「……?俺寝てるだけだぞ。」
    「分かってるよ、一緒に寝ようぜ。」
    後頭部に両腕を回されて優しく引き寄せられる。そのまま胸に頭を抱えるようにして、ベッドに2人で倒れ込んだ。
    「暑い……。」
    「離れた方がいい?」
    「……このままがいい。」
    「ん、もう寝ようぜ。」
    背中に回された手で背中をぽんぽんと軽く叩かれる。暖かい体温は安心するけれど、子供をあやすみたいな手つきには少しだけムッとした。それを口に出す気力はなかった。せめてもの抗議に頭を胸元に擦り寄せれば、トウマの心臓の音が聞こえてきた。とくとくと規則正しく脈を撃つ音。もっと聞きたくて目を閉じた。
    視界が無くなれば音がよく聞こえる。心臓の音と、遠くから雨の音。2つの音が混ざり合うメロディがどこか心地よく思えて、そのまま意識を手放した。

    「おやすみ」
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