雨 朝のテレビではそんな事は言っていなかった。
それを示すようにずっと向こうのおそらく隣町のあたりの空は綺麗に晴れて日が差しているのが見える。
もちろん全国的に梅雨入りを宣言された昨今、降水確率の云々関わらず折り畳み傘はカバンの中に入っている。けれども通り雨(というには豪雨だが)ごときで傘を濡らすのはなんとなく心情に反した。
そういう訳で、線路下の歩行者用トンネルでただただ遠くの晴れ間を眺めて通り雨が過ぎるのを待っていた。
流れ込む水流はとめどなく流れて、気に入りの靴もつま先から濡れ始めてじきに靴下も浸水するだろう。人通りなどありはしないが、道を塞がないようにしながら携帯を見ていると「よお」と声を掛けられた。
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