Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    MMogu4410

    @MMogu4410

    落書きはなんかいろいろ

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 11

    MMogu4410

    ☆quiet follow

    諏訪受けワンドロ第6回:お題『探偵』
    荒諏訪
    #rightsw_draw

    「探偵」 探偵小説の悪影響といえば、近界民が襲来する以外のごくごく普通の毎日さえそれが侵食しているということだ。例えば刑事ドラマを見ていれば犯人を無意識のうちに先読みしてしまう。ああいったドラマというのは大抵の筋書が著名な小説や映画からのオマージュも少なくなく、トリックや犯人への道筋がとても分かりやすく、子供の頃はその推理をよく考えもせず披露しては母親をがっかりさせた。
     その度に「ああいうのはね、自分で推理する人もいれば道中の道筋なんかどうでもいいっていう視聴者もいるんだから、例えあんたが前者でも、なんでもかんでも口に出せばいいというものじゃない訳。おわかり?」と本当に面白くなさそうに言うので、諏訪はほんの数回の失敗で母親の楽しみを奪う事はなくなった。
     話は逸れたが、とにかく喫煙所から戻った諏訪の目の前にはメモ紙が一枚隊室のテーブルの上にこれ見よがしに置いてある。諏訪隊は現在待機中の為、隊室はにぎやかだ。
     けれどもだれもテーブルの上のメモを気にするものがいない。率直に言うと不気味だった。

    『夜行く』

     文字が書かれた面が上を向いている以上、この内容は隠ぺいするつもりはないのだろう。
     ならば何故、誰が、隊員の誰もが目にする確率が高い諏訪隊隊室のミーティング用テーブルの上に置いて行ったのか?という疑問だ。諏訪隊の隊室は隊員以外の麻雀同好の士や、常設している貸出自由の本棚からマンガやら小説やらを借りに来る輩もすくなくない。だれがいつやってくるかもわからない机の上に秘密を記したメモなどは放置しておくのには向かないという事だ。
     とりあえず諏訪はあたりを見まわした後、机のメモ紙に手を伸ばすとパンツのポケットに入れることにした。
     次にすべきは差出人に一言告げなければならない。

     あくまでも自然に部屋を出て行こうとすると、堤が声を掛けた。
    「すぐ戻ってくださいね」
    「分かってる。なんかあったら呼んでくれ」
     平静を装って諏訪は廊下を出るとトークアプリでメッセージを送った。すぐさまメッセージに既読がつくと折り返すまもなく呼び出し音が鳴った。
    『よく俺だって分かりましたね』
     電話口の声は実に楽しそうに言った。
     諏訪は黙る。ネタバレはおいそれとすべきではないのだ。だが、電話の主は諏訪の母親の忠告を知るはずもないので『なにか買ってく物とかありますっけ』等と無邪気に諏訪を煽った。
    「別にないと思ったけど」
    『けど?』
    「お前のクセ字特徴ありすぎるし、隊室から持って行ったディスク返しに来たなら言伝にしたって良かっただろ」
     諏訪が苦々しく言うと電話口からくすくすといじわるそうに笑う声が響いた。
    『さすが名探偵。諏訪さんが俺と付き合ってんの隠そうとしてるのがいじらしいからなぁ』
    「荒船、テメェセリフがまんま悪役だからな」

     荒船はひとしきり笑うと電話を切った。
     諏訪は溜息を洩らしたが、メモの説明を要求されるだろうと思うと何とも面痒く何とも言えない気分だった。


    終わり
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏👍👍🙏💚💜💞👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    ハスミ

    REHABILI2022/12/26
    乱寂のお題さんは晴天の定義にそぐう日、安全性が疑わしい遊具のある公園で考えなしに言ってしまったせりふの話をしてください。
    #さみしいなにかをかく #shindanmaker https://shindanmaker.com/595943
    診断メーカーさんの中にある『さみしいなにかをかく』で出たお題を使用させていただきました。こちらのお題、とても素敵なので時々お借りしています。
    2022/12/26_お題_乱寂SS 雲ひとつないとはいうけれど、冬の青空というものはどこまで広がっているのだろうか。いや、地球が丸いとか大気が覆っているとか、そんなつまらないことをかんがえたいんじゃない。俺の見ている青は、寂雷にとっての白かもしれないし、第三者からしたらあらゆる色がきたならしく混ざったヘドロ色かもしれない。じぶん以外の視点になんか一生かかってもなれないので、こんなことに思い巡らすのは無駄かもしれないけれど、意思/思考をもった一個体としてそのくらいはゆるされるべきだろう。
     シブヤ区ショウトウ方面におおきめの公園があると寂雷がSNSで知って、俺がここへ案内するまで三十分。きっかり、三十分だった。公園内にはシートを張られている砂場や、無害そうにスプリングでゆらゆらと揺れる動物の乗り物、チェーン部分を支柱にぐるぐると巻きつけられているブランコなどがあった。『危険!乗らないで!撤去予定日XX/XX』と張り紙をされているスプリング遊具をまじまじと見ると、それは犬とパンダと象と魚で、およそなんの特徴もなく作られてしまった水色の魚がなんとなくかわいそうになる。魚の遊具はそこそこ人気だったのか、あちこちの塗料が剥がれて部分的に黒くなってしまっていた。
    1619