【出張から帰ってきたら、ビiッチな弟が酷い匂わせをしてくる件について】・蘭竜メインで、匂わせ春竜&モブ竜
・ちょっとだけ竜胆が痛い目にあいます。
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「なにこれ、煽ってんの」
地を這うような、怒気に満ちた低音が自然と喉から滑り出る。蘭は100人中100人が満場一致で『美しい』と褒め称えるであろう、整った笑顔を浮かべ、1ヶ月振りに会う愛しい弟の左耳に触れた。そして、次の瞬間――――ブチリ。軽快な音を立ててソレを、弟の耳から引きちぎる。
海外での取引に単独で駆り出されること、1ヶ月。いくら業務と言えどこれだけ長い期間、愛して愛してやまない、最愛の弟と離れたためしはなかった。故に蘭は久方ぶりに訪れる我が家――弟が待つマンションへ、帰宅するのが楽しみで仕方がなかったのだ。嫌々ながら向かわされた旅先で何度、触れられない弟を想い自慰に耽ったかなどもうわかりもしない。
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