It's Show Time ~You're my Valentine~ 仁王のせいで、もとい、仁王のおかげで、コーチの指示したミッションを達成できるチョコレートが袋いっぱい、柳生の腕の中にたんまりと残された。ふわりと甘い香りが漂って鼻腔の奥を通り抜けていく。
ひとの姿で何かをやらかしたらしい仁王を、柳生もすぐさま追いかけて行ったものの、仁王は見つからなかった。もしかしたらどこかで誰かにイリュージョンしているのか、それともパーティーの人混みに紛れ込んだのか、その両方か。
「まったく……」
悪戯好きにもほどがある。
それでもこれくらいの悪戯だからまだかわいいものだ。加えて、柳生自身は乗り気ではなかったチョコレートを集めるミッションをこんな形でクリアできたのだから、その点は評価してひとまずよしとしようか。
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