パンツを捨て旅に出る動画の前日譚卒業式を終えて徐々に寮を退去する卒業生が減った頃
まだ残っていたエースとデュースはオンボロ寮へと足を運んだ
「監督生!!いい加減教えろよ!」
「そうだぞ、監督生。グリムだってヴァンルージュ先輩の紹介で仕事を見つけたんだ、後はお前だけなんだぞ?」
「本当はジャックやエペル、セベクだってお前の事最後まで心配してたんだ。今日こそはぜっっったい!聞かせてもらうからな!」
「監督生が話すまで僕たちはここに居座るからな」
そういう2人の足元には大きな鞄があった
学園を出て行く荷物だが、今はオンボロ寮に居座る当分の生活品としてある
「2人とも、早めに帰って新生活の準備しないと仕事どころじゃなくなるよ?」
「だーかーらー。オレたちが困るか困らないかは監督生にかかってんの!さっさと腹括って話してくんない?」
監督生はしばらく考えたあと、仕方ないとばかりにため息をついて話始めた。
「旅に出る」
「は?」
「ツイチューバーとして」
「ん?」
「パンツを捨てて」
「待て待て待て!ちょっと待てお前何言ってんの⁉︎」
「驚かせるつもりだったのになー」
「すまない監督生、僕もこの4年で理解能力を身につけたと思ったんだが、理解できてない」
「オレだって理解できないわ!!1から説明してくれる!?」
「僕がこの世界に来て自分の役目というものを果たしたけど、いまだに元の世界には帰れてない。もう半分以上こっちで生活する気でいるけど、諦めきれない気持ちやまだこちらの世界の事を分かってない不安もある。だから旅に出てこの世界の事を知りながら、元の世界の帰り方が分かればという期待も込めて旅に出る。」
「僕たちも結局力になれなかった…そういう気持ちになるよな。旅に出る理由は良いとしてお金とかどうするんだ?色々バイトやっていたのは知っているが」
「基本の旅費はカリム先輩とレオナ先輩に支援してもらえることになってる」
「いきなり最強のカード出してきたんだけど」
「ツイチューバーになるよう勧めてくれたのはアズール先輩で、登録者数に応じて旅に必要な防犯グッズやら便利道具をくれる事になってる。ちなみに録画、編集、投稿はイデア先輩がやってくれる。2人がプロデューサー」
「なんでアズール先輩?て、思ったけど登録者数に応じてなら納得。店の宣伝にでもするつもりか。もちろん期限付きなんだろ?」
「一ヶ月で10万人」
「一ヶ月!?無茶だ!」
「アズール先輩だって勝算のない取引きはしないよ。何度も企画書だして、第1回目に【茨の谷の友達に会いに行ってみた】で納得してくれた。ツノ太郎へのドッキリならと、ちゃんとリリア先輩にも承諾もらったよ」
「初っ端から最終回くらいの勢いなんですけど、未開の地に行ってその上マレウス先輩に会うとか」
「第2回はヴィル先輩とコラボで【茨の谷コーデしてみた】をやる事になってる」
「学園での伝手フル活用か…」
「で、聞くか迷ってたけど。パンツがなに?」
「イデア先輩がもっと監督生氏自身のインパクト欲しいでござる。て、言われたから。元の世界で話題の本を元にノーパン旅しようかと」
「とりあえずパンツは履け!!!!」
「でももう捨てちゃった」
「今もノーパンなのか!!?」
後日
ノーパンの事が動画で分かり、アズールやヴィルから契約打ち切り宣言されたが
エースの「パンツ履け」の1コメに多くの人が便乗した事とケイトの宣伝力、マレウス・ドラコニアの出演で早々にバズり1万人をゆうに越えて契約延長
次のヴィルとのコラボで「安心して、ノーパンだと気づかれないものを履かせたわ」に対し「違うそうじゃない」が飛び交った