猫になりたい「……で?何か、言いたいコトはありますか?」
黙々とした晩飯の最中に、俺は大きな声でハッキリと言った。目の前にいるおじさんはモジモジしながら、黙っている。俺はジトッとした目で見つめていた。言い逃れがあるなら今言えとばかりに睨みつけると、おじさんは視線を合わせて、ピャッと下を向いて、顔を真っ赤にしている。
「言いたいことは…いろいろある…」
「全部言ってください。今すぐに」
俺の強い口調に、おじさんは視線を合わせられない。
「その…ゴミ捨て場を、漁ったのは謝る…いい椅子が…あったから…」
「その歳でゴミ捨て場漁るなんて、相当おじさんも参っちゃってますね。貧乏癖が抜けてないんだろうな。椅子の一つや二つ、買えばいいじゃないですか。それで?」
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